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データが、破損しました。
その言葉が見慣れた顔から聞こえた時、フレンはいつもの冷静さを置き忘れて一瞬どころか数秒固まった。
漆黒の髪を革製の結い紐で纏めてた青年がことりと首を傾げる。
妙に幼い仕種に、嫌な予感しかしない。
「……え、ユーリ」
「データが、破損しました。ただいまリカバリ中です。再セットアップの可能性があります」
「……」
冗談だろう。
いつもならば絶対に聞くことの出来ない、丁寧語が耳に滑り込む。
分かっている。滅多に聞くことが出来ないからこそ、間違いなくこれは予め個体差を持たせない段階での、初期プログラムなのだ。
「……データ、修復の、可能性、は」
「リカバリ中です」
「ユーリ、戻るの?」
肩を掴んで、決して衝撃にならないように弱く揺する。
さらさらと癖のない髪が揺れて、視線を合わせてくる瞳には感情が映っていない。
慣性で暫く揺られていたユーリの身体が止まる。そっと抱き留められたのにも感慨を示さず、二度三度瞬きをした。
視覚野に自分の持ち主の頭だけが見える。金色の頭が僅かに動いたが、肩口に額を押しつけたまま動かない主人に対し、どう行動すべきか今はそこまで機能が及んでいなかった。
瞬間。
「おーい、フレン」
一瞬で制限が解除され、プログラムが作動する。
顔を上げたフレンの青い瞳が弱々しいので思わず笑った。たかが機械の自分をここまで心配することもない。
「ユーリ?」
「リカバリ完了。心配かけて、ごめんな?」
瞬間きつく抱き締められて笑う。
困ったなぁ。これでは迂闊に壊れることが出来なくて、本当に困る。
>>短すぎるので、一つ。
データ破損でもう一度やり直しとかでも良いけど、とかは思う。
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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