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突然の寒さに動くのも億劫なのか、暖を取る為に出した毛布の中に丸まってしまった姿は見えない。
ただ拾ってきた時よりは大きくなったユーリの、尻尾の先だけがゆらりと横に振られるのが見えた。
「ユーリ、温いミルク持ってきたから」
常温では寒いだろうと少しだけ暖めたミルク皿を、毛布の固まりの脇に置くともぞりと動いた。
艶やかな漆黒の毛並みの子猫が耳を立てて顔を出す。
首を傾げて鼻先をミルクに近づける様子を見て、思わず笑みを零した。
そういえば温かいミルクはまだあげたことがなかった。
余り熱いのは飲めないだろうと踏んで、少しだけ暖めたのだが、それでも猫の舌には熱く感じられるのあろうか。
「ユーリ?」
そろりとミルクに口を付ける様子を見守れば杞憂だったらしい。
温度は大丈夫だったらしく、最初の臆病な様子はどこへやら上機嫌にミルクを飲む子猫がそこにいる。
子猫を拾ったのは季節がまだ春に差し掛かる少し前。丁度寒さが和らぎ始めた頃だった。
建物の影で警戒していた小さな猫がとてもじゃないが気になった。
本来なら飼うことは躊躇われるはずのそれを全く躊躇なく家へと連れて帰ったのは、手を伸ばした時僅かに怯えながらも寄ってきた温度がとても暖かかったからかも知れない。
季節はそろそろ冬に差し掛かる。
まだ白いものが空から降っては来ないが、あと一月もすればちらつくことだろう。
がたがたと窓枠を風が揺らした。
そっと毛布にくるまれた背を撫でてやれば、小さく喉を鳴らすユーリが言う。
「……ふれん」
名を呼んで言う。
「さむい」
ふるふると肩だけじゃなく、体を震わす子猫に苦笑した。
確かにまだ夜の帳は落ちたばかりで、この調子だと夜中はもっと冷え込むだろう。
自分も突然訪れたこの寒さに体が慣れず、寒い。
なら。
「それじゃ、今日は一緒に寝ようか」
―きっと一人よりは暖かいだろうから。
>>ツイッタでお世話になってるHさんに捧げたこにゃんこ小話。
……難しい^q^
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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