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「あぁんもう!」
長いマフラーをぐるりと巻いた少女が悪態を吐く。大きな鞄を提げ、暗闇に自分の影がまた濃く闇を落とす。そんな夜の世界で少女は大きく溜息を吐いた。
本当は引き受け拒否でもしたら良かっただろうか。
幾らなんでもお取り扱い出来ないものですとか言えば良かっただろうか。
「無理じゃん」
抱えた荷物を見下ろして呟くと少女は歩く。
送料に掛かる切手代は不備もなく揃っていた。小柄な少女が抱えるのがやっとの薄い布に覆われた荷物は、彼女の視界を遮ってしまうほどだ。
ほとほと暗い道の、安定しない足下さえ見えない。
もしここで襲われたりしたら溜まったものじゃない。
(挙げ句、日付指定まで。生ものですって)
荷物に貼られた切手の金額が法外に近い高額なのは、集荷先の注文で理解した。
頑張って順調に全行程を進んで何とかこなせる日数。荷物を抱え直して少女は大きく悩む。
「こんな時こそ速達便の出番じゃないの……」
折角あるんだから。
確かに捕まえるのは難しいけど。
徒歩や馬車で移動する自分よりは余程早い。その鉄の単車を駆る配達人は。
「来てくれたって良いじゃん」
「テガミバチが荷物になる気か?」
「へ?」
突然暗がりの岩場の上から声がした。
振り仰ぐと人影がある。
「……あ! ローランサンじゃない!」
「お前。要請出したろ。近くだったから待ってたんだ。俺は暇じゃないんだぞ」
「僕だって暇じゃないよ」
軽い身のこなしで岩場から降り立ったのは白銀の髪を持つ少年。
呆れた様子で少女の腕から荷物を奪い取る。しげしげと伝票と切手を確認し、その後少女を見下ろした。
「待てば良かったのに」
「だってお願いしますって言われたから」
集荷の時に断ろうとは思ったのだ。
これは普通の便じゃ扱いが難しすぎる。だから要請を出しておくから速達便を使えと。何度か言おうとして、差出人の足下隠れるようにして様子を窺う子どもが「おねがいします」と言うものだから。つい断ることが出来なくて。
「ま、良いけど。次の配達先と方向が一緒だから乗せてく」
「本当?」
少女の声が明るさを取り戻す。少年が苦笑した。
片手で少女が両手で抱えていた荷物を器用に運び、岩場を上っていく。
それに続いた少女が見たのは、暗闇の中。微かな光をはじき返す鉄の単車。暗闇の荒野を自在に走る疾風の術。
「持って」
ぽいっと腕の中に荷物を渡され、慌てて受け取る。
鉄の単車に跨った少年が「後ろ」と言った。心得たように荷物を取り落とさないよう固定して少女は少年の後ろに収まる。
かちり。と回されたベルトが金具で繋がれた。
「飛ばすから、舌噛むなよ」
「はぁい」
ぐっと掛かる重力。
慣れない感覚に少年の上着を掴むと、少しだけスピードが緩んだ。肩越し振り返る少年が苦笑する。
「ごめん。ついいつもの癖で」
「ううん。大丈夫。ありがとね。これで枯らすことなく届けられそう」
ふふと少女が笑い返すと、ハンドルを握り直した少年がまたスピードを上げた。
>>なんか、掴めなくて続かない!><
ごめんね……!
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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