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「つまりは、愛が足りないんじゃない」
「……は? 何を言ってるの?」
足りないのは君の頭の方じゃないかな、と言いかけてヴィンセントは手にしていた鋏をくるりと回した。
逆手から順手。弧を描いた鋏の先は落ち着きを取り戻して手の中に収まる。
「だから、そんな破壊衝動」
す、と指がヴィンセントの腕の中にあるぬいぐるみに向く。
腕の縫い目が鋏で切られ綿が少しだけ出てしまったそれは痛々しくも思えた。
「嫌だなぁ、オズ君は変なことを言うんだね」
「そう? 結構当たってる気がするんだけど」
にこりと屈託もなしに笑う少年にヴィンセントは首を傾げる。
何とも理解し難い。
「だって好きだからこうするんでしょう?」
「だって愛が足りないから気を引こうと、壊そうとするんだろ?」
ほぼ同時だった言葉が落ちた。
「別にそんなことないよ?」
「どうかな? なんかそういうところに疎いの、似てるよね」
さらりと言ってのけられた言葉に眉を顰めたのも束の間、少年の腕が伸びて鋏を奪い取る。
金色の装飾が施された鋏が、少年の手に収まるのを見詰めながらヴィンセントは手を伸ばした。
鋏が無いのは、嫌で。けれど指先を捕らえたのは少年の手。
「返して」
「嫌だよ」
「無いと困るんだ」
「だって可哀想だろ」
主語のない言葉にヴィンセントは笑う。
「可哀想じゃないよ、だって痛くもないんだもの」
腕の中のぬいぐるみを示して言えば、オズも笑った。
「違うよ」
そして嫌なことを言う。
「可哀想なのも痛いのも、それじゃなくて」
――ヴィンセントの方だよ。
>>あれだが……。姉妹の中でオズ坊ちゃんはほぼ上固定。
ナイトレイさんとこの息子たちは坊ちゃんの嫁らしい。
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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