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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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狭く閉ざしていた視界に鋏を入れてくれた人を、覚えている。
笑うと大人のくせに子供みたいで、一緒に寝転がって遊んだりもした。
兄と呼んで欲しかったらしく、呼び方に不服だったのか少し残念がって笑った。
そんな人を覚えている。
忘れてしまえれば楽だったのかもしれない、と思う。
けれど実際は忘れなくて良かったとも、思う。

「でも実際、これだけ似てると腹は立つけど」
「何の話?」
「君の外見の話だよ」

自分が知ってる面影よりも、もっともっと幼いけど。
思ったよりも器用な人だったなぁと思う。オルゴール職人と自ら名乗るだけあって細かい作業が得意だった。
「ふうん」
意識を引き戻すような短い相槌。じっと此方を見詰める瞳の色も同じ色。
「誰と重ねたの?」
「……え?」
「いや、何となく気になって」
にこりと満面の笑みを浮かべたところをみると、粗方見当はついているのだろう。
それはそうかと思い直した。
たぶん彼は色んなことを、隠してきたかったことを知っているから。
それでいて何も言わないのが気に入らないとも思う。過去を求める一途さなら帽子屋の方が分かりやすい。
「別に。君に関係あること?」
「うーん、どうだろう」
笑う。
「何となく、どうやったら呼べるかなぁって思っただけだよ」

 ―ねぇ、どうやって君を呼んだらいいかな。

瞬間重なる声に目眩がした。
覚えているのも、忘れてしまうのも、きっとどっちも辛い。
自分が取った選択と、無意識に兄が取った選択は、どちらも。
「勝手にしたらいいよ」
視界さえ暈けるような感覚に素っ気なく言い返せば、「そう」とだけ返った。



>>これだけの短いのに、書いてる間に色々と見失った。
   そんなこんなオズとヴィンス。

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