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ねぇ、アロマちゃん。
そう言うのに何度躊躇った後に口にしただろう。
モニターから全然目を離さなかった姉が少しだけ視線を投げてきた。
研究に没頭しながらも、そう言う仕草の時はその続きを投げて良いと言うことになる。
「………」
しかし言葉は結局どうしようかと言い出せず、吐き出されたため息はアロマのものだ。
「あのね、何?」
話しかけたならいいなさいよ、と付け足して彼女は今度こそモニターから視線を外した。
くるりと椅子を回して性別以外は瓜二つと言っていい弟に向き合う。
「……、あの」
「うん?」
「アロマちゃんはさ、あの人のことどう思ってるわけ」
「誰のこと?」
そこで無意識に首を傾げたアロマにフェイズがため息をつく。
どうしてそこで分からないのだろう。
「だから、エイルマットのこと!」
「ああ…。別に? 何とも。というかどうしてそんなこと聞くの、フェイズ」
「だってアロマちゃんさ…」
言いかけてフェイズは口を噤んだ。
何を言えばいいと言うのだ。鈍い姉に何とも言えない感情を覚えて、「やっぱいい」と言い直した。
それにも首を傾げて「変なフェイズ」と言い置いて、アロマはモニターにまた向かい合ってしまう。
その背中を見つめて、「やっぱり」と呟いたフェイズの言葉は聞こえていないようだった。
「で? フェイズはイルたんが嫌いなのよ?」
話す相手を間違えた、と頭が痛くなっているフェイズを余所に、キャンバスにただ絵の具を塗ったくってるようにしか見えない天才は振り返る。
二つに結った髪が揺れて、感情を余り移さない少女が少しだけ笑った。
「別に、嫌いなんて言ってないでしょう?」
「言ってるのと一緒なのよ。あ、違うのよ。気に入らないだけなのよ」
この子は容姿は幼いくせに、酷く時折鋭い。
椅子に座りながらフェイズはキャンバスに絵を描き続ける少女を見つめた。
「気に入らないなんて」
「じゃあ、何なのよ。言ってみたらいいのよ」
そう問われて言葉に詰まる。その後ろを会話はどこからともなく聞いていたのだろう、二人の顔見知りである若い金髪の青年が笑って通っていく。
「違うよ、リムル。フェイズはさ、ただ悔しいだけなんだって」
「エッジさん?!」
驚いて振り返ったフェイズを余所に、どこ吹く風の笑顔がそこにあった。
「大事なお姉さんを取られた気分でね」
「ああ、そうなのよ? フェイズってば案外可愛いところあるのよ」
>> 博物/館惑星/パロ、SO4部分。
メールでもえぶそくを訴え続けた冬さんの戦利品。
私としては急拵えの何か(苦笑)
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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