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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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「ああ、やっと見つけましたヨ」
少しだけ口角をを上げて笑った相手を無視して進んでいくと、意外そうな顔をされる。
「おや」と小さく声が聞こえて、纏わりつくようでありながら決して手の出せない一定の距離でついてきた。
「怒ってるんですかァ…?」
小さく問われる声も無視。
手にしていた杖で背中を突かれても無視。
とにかく無視を決め込む態度に相手は小さく溜息を零した。
「あのね、レイムさん」
そしていつもの人を喰ったような話し方ではなく、落ち着いた調子で声を掛けてくる。
本来の相手の話し方はこちらに近い。
「そんなに眉間に皺寄せて我慢して無くても、伝わりますよ」
ゆっくりと距離を取りながらついてくる相手が苦笑を落とした。
「怒ってるんですね?」
そして殆ど無自覚に近い、言葉を繋いだ。
「どうしてです?」
「あのな、お前が……っ」
振り返った先でにこりと笑った顔を正直ぶん殴りたいと思う。
いつだってギリギリのところで彼は確信犯であるから、どれが計算されていないものか見失う。
「レイムさん?」
「無茶ばっかりするからだ!」
空いた手を握れば、ひんやりと血が通っているのかと心配になるほどに冷たかった。
強く握っても顔色一つ変えない相手に痺れを切らす。
「無理は利かないんだ。もっと大切にしろ」
「……ああ、はい」
優しいんですね、と続いた言葉にやはりぶん殴りたくなった。
代わりに手を引っ張りそのまま、細い体を抱き込む。「おや」とまた小さく声が上がるが無視することにした。
「ご免なさい」
小さく、聞こえるか聞こえないかの瀬戸際で耳元に囁かれる言葉は謝罪。
全て本当は解っていて、それで解ってないままに笑うそれに
「いや、いい」
返した言葉も虚実を孕むので、結局どちらも嘘吐きなのかもしれないと思うのだ。


>>ぶれの無い二人です。なんというか、そんな感じ。
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此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。

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