忍者ブログ
謂わばネタ掃き溜め保管場所
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

空に映える色。
伸ばした腕。
さらりと色素の薄い髪が揺れて、逆に濃い色の服の裾がはためく。
寄せては返す波。その名前を人として与えられていた彼がふうと息を吐くのと同時、身を切るような切実な音が聞こえた気がして振り返った彼の前に人影はあった。

「こんばんは。今宵はいい夜だ」

そういってにこりと笑うそれに彼も笑いかける。

「珍しいね、アシェア」
「そう?」
「こういう日は来ないだろう?」

滅多に来ない知人がとぼけて見せるのでそういって見せると、知人は少しだけ首を傾げた。
少しだけ苦しそうに胸元をかき寄せてじっと虚空を見つめた瞳に何も言えることは無い。

「今日は、魂の声に少し落ち着きが無い。……こういうときは動くのも辛いだろうに」
「選んだのは私だからね」

だから甘んじて受けるしかないのだ、といいたそうにしながらその実何もいわないのだ。

「漣」
「……」
「私は、間違ったと……時折そういわれる夢を見た気がする」

曖昧な物言いをするのは本当に分からないからなのか、認めたくないからなのか。
世界を全て敵に回したあの日に、なんてことを、とたった一言で言えなかった。
それには漣は優しすぎて、そして色々なことを知りすぎていた。

「後悔を?」
「ううん。真逆」
「……では?」
「わからない。けど、見るたびに思うよ。ならば、これを最後まで、とね」
「……本当に辛い道ばかりを選ぶね、アシェア」
「ああ、うん。仕方ない。きっと、これは」


するりと気まぐれに消えていった知人の残像をその目に映す様に漣は闇をただ見つめた。
魂の啼く、その日は。
嘆きの声と、魂の声の安寧とともに、知人の痛みが少しでも和らいでいますようにと気休めを願う。




>>ファンタジー好きに100題。先代冥王漣と精霊王アシェア。
   うん。この二人好きなの。

   これも睦月と一緒に話の再開をしたいなとは思っている。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
プロフィール
HN:
くまがい
HP:
性別:
女性
自己紹介:
此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。

ブログ内文章無断転載禁止ですよー。
忍者ブログ [PR]