忍者ブログ
謂わばネタ掃き溜め保管場所
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

軽やかに舌先を転がる旋律。
鼻歌を歌いながら慶次が笑う。
それをBGMに政宗はそ知らぬ振りで読書を続け、元親は図面を見ながら器用に細工品を組み上げていた。
同じようにちょこちょこと部品を組み立てながら重治が首をかしげる。

「あれ、慶次君」
「うん?」

鼻歌が止む。
同じように首をかしげた慶次が歌を止めた人間の言葉を待つ。

「歌詞違ってない?」
「……え。そうだっけ?」

参ったなぁ、そんなの気にしてなかった。
そういって笑った慶次が頬をかく。本から視線を上げた政宗が小さく笑った。

「あれだろ。慶次。前からお前、その歌の一番と二番の歌詞がごっちゃになってんだよな」
「うーん」
「覚えづらいの?」
「かなぁ?」
「……いいんじゃねぇ? 少しくらいの間違いは許容の範囲だろ」

元親が告げた言葉に、重治がまた首をかしげた。

「そうかなぁ?」
「歌を紡ぐ時の気持ちさえ間違ってなかったら、少しくらい許容範囲だろ」
「でも歌詞にだって意味はあるよ」
「それでもって、あれだな。その歌詞に誰もが同調できるわけでもないんだよな」
「うーん」

「例えばの話」

元親が組み上げに使っていた工具を放り出して重治と慶次を振り返った。

「旋律に共感を持っても、歌詞に共感をもてない時もある」
「逆もまた然り、ってか」
「そゆこと」

政宗が意地悪く笑って立ち上がった。ぱたりと本を閉じて「一理ある」と言う。
確かにそれには覚えのある感覚だ、とその場に居る全員が思った。

「それじゃ、まぁ…いいか」

納得したようで、頷いた重治の頭を褒めるようにぽんと手で撫でた慶次が笑う。
つられて全員で笑うのに時間は掛からなかった。



>>カナリア設定。幼馴染四人組。
   きっと、こんな風に聖地では過ごしてたんだろうな…の妄想。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
くまがい
HP:
性別:
女性
自己紹介:
此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。

ブログ内文章無断転載禁止ですよー。
忍者ブログ [PR]