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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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例えば少しだけ腕を持ち上げてみる。その瞬間に感じる抵抗を人は表現する術を持たない。空気抵抗などいつだって掛かっているが故に通常の抵抗を無いものと錯覚するなど許容の範疇だ。
寧ろそれを丁寧に拾い上げ不快を示す方が異常とも取れる。
だからこそ、
「月君」
「何だよ、竜崎」
不機嫌を露わにしそっぽを向いてしまった未だ少年の域を抜けきらない端正な容姿に苦笑を禁じ得ない。きっと言ったところで理解には程遠いだろう。容認出来ないというのならば容認出来ず、容認した瞬間に出来なかった頃を不思議と思うならば、それは矢張り言って仕方ないことなのだ。
「お前は狡いよ」
「…ええ、そうですね」
「いつだって肝心なところで大人なんだ」
「月君よりは幾らか長く生きてますので」
溜息は彼の口から長く細く零れ落ちた。
伏せた睫は長く影を縁取るそれは一つ芸術品の完成を見ているようで。
「どうしてだろう」
「はい?」
「きっと僕の気持ちは言っても分からないんだろうな」
「ああ、」
言って分からないのだろう現実だけは共有する、感覚の共感はある種奇跡だ。
「私もそう思います」
その言葉に苦しそうに眉を顰めた彼の耳朶にそっと唇を寄せる。
「でもね、一つ…言って分からなくても言いたいことはあるんですよ」
「何?」
あくまで不機嫌なその横顔を見遣りながら、可能な限り優しく囁いてみせた。

「愛しています、月君」


>>私の書く二人では圧倒的にLが大人(笑

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そんなところです。

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