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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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何故この状況に追い込まれたか。
蝋燭が消えてしまった室内で政宗は未だ暗闇に慣れきっていない瞳を瞬かせた。
背中というよりは腰に近い部分に腕を回され、随分と下の位置で抱きついてきた相手は微動だにしない。
多少肌蹴てしまった夜着の隙間に相手の日に灼けた髪が触れてくすぐったい。

「………あー、………幸村?」

仕方ない。
意を決して呼びかければ回された腕に力を込められただけで無言が返った。
一体何事だと一つ溜息を吐いて、二人分の体重を支えるように床についていた腕の片方で幸村の背を撫でる。
二度三度、子供をあやすように繰り返せば不意に腕の力は弱まった。

「幸村、落ち着いたか?」
「……政宗、殿」

そろりと顔を上げた幸村の瞳は普段の明るさが影を潜めている。闇と同じ暗さを宿す瞳に本能的に危うさを感じ背筋が粟立った。
平素は明るく真っ直ぐな気質の幸村は時折、戦を終えた後の気持ちの切り替えが出来ず闇に沈むようになる。
その度に宥め賺すのは幸村の忍の役目であったはずだが今回に限ってはそれが適用していないようだ。

「一国の主に堂々と夜這いたぁ、良い度胸だな?」
「……申し訳ない」

力の弱まった腕はしかし政宗を離さない。
謝罪の言葉を口にする幸村の瞳の色は未だ闇に沈んだままである。
他人の体温が安堵するのだろうか。折角一度上げた顔を伏せて身を寄せてきた幸村に今度こそ政宗は盛大に溜息を吐いた。

「………お前、此処に来ること誰かに言ってきたか?」
「いや、誰にも」
「お前の忍にもか?」
「佐助にも言っておらぬ」
「……」

先日、甲斐にて小競り合いがあったのは知っている。
そしてその足のまま此処に来たというのか。
であれば甲斐の国主も忍も大層心配しているであろう。いや、忍に関してはどう行動するか知っていて黙認したのかもしれない。

「………面倒臭ぇ」
「政宗殿」

思わず零れた本音に小さく返る言葉は深みを持った。
いよいよ覚悟を決めなければと余分の体重を支えてすっかり痺れてしまった腕をずらした。

「幸村、如何だっていいがな…俺は」
「代りではなく政宗殿が良いから此処まで来た」
「……あぁ、そ」

言葉は突然姿勢を変えて口付を仕掛けてきた唇に吸い込まれた。
辛うじて支えていた二人分の体重を支えきれずに背中を強か床に打ちつけ眉を顰めたのも束の間、息継ぎを許さず深くなる接吻が思考回路を鈍らせる。何とか振り切って自由になる腕で幸村の髪を引き唇を引き剥がした。

「……は、」

冗談。
空気を求めて無意識で漏れた声に政宗が内心苦く思うと至近距離で痛いと呻く声が聞こえる。
限りなく二人の距離は零に近い。
髪を引かれ少し仰け反った幸村の喉がこくりと動いた。

「……分かった、分かった」

落ち着かせるような柔らかな口調で告げた政宗が口角を吊り上げる。
暗闇に漸く慣れた視界は訝しげに政宗を見た幸村の瞳を捉えた。
掴んでいた髪を離してやる。急なことに反応が遅れた幸村が頭を支え切れず、しかし咄嗟の判断かこつりとぶつかった額同士に衝撃は殆ど走らない。

「……とりあえず幸村」
「何で御座ろう」
「明日、必死で殺されない言い訳でも考えておけ。俺はフォローはしないぜ?」
「………承知した」

素直に頷いた幸村の唇がもう一度政宗のそれと重なる。
角度を変えて深くなる口付を甘んじて受けながら政宗は幸村の首に腕を回した。
必死で縋りつくかのような、その行動にいつだって絆され流されてしまう…これを愛と呼べるかは知らない。




>>幸政。少し大人な雰囲気を目指したつもり(?)
   男前UKEってどう書くんだ!ちょうむずかしい…!(笑

   たっつんお誕生日おめでとー、文です。
   これでお祝いか…という感じだけどお誕生日おめでとー!

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