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―ああ、ほら。これを見てご覧よ。
と歌を終えて譜面をチェックしていた僕に彼は言う。
穏やかな声に楽しさも含んで、だから顔を上げた僕は視線が合った瞬間に少しだけ首を傾げた。
心底嬉しそうな、何だろう? 凄い暖かな笑み。
「何ですか? マスター」
手招いて画面を示すので覗き込む。
そこには長い南国の海の色に似た髪を二つに結った少女が映り込んでいる。瞼が降りているので少女の瞳の色までは分からないが、左腕にナンバリングだろうか、刻印があった。
「……この子」
「そう。分かるかい? 君の妹と呼べる存在だろうね」
くすくすと笑う声に僕も思わず釣られて笑う。
「嬉しそうですね、マスター」
「うん」
訊けば間もなく答えは返った。
「いつか、この子が世に出てきたら君と一緒に歌うこともあるんだろうね。どんな歌を歌うんだろう。楽しみだね」
屈託無く。
楽しみと言った彼が視線をあげて僕を見る。
ああ、そう。この人は。
「はい。僕も楽しみです、マスター」
心底音楽を、歌を、そして僕らが歌うことを愛し望んでくれるから。
だからこそ一つ一つ彼の手から生まれる音を間違うことなく声に乗せて歌いたいと思うのだ。
大切な気持ちは、全て彼のその姿勢から受け取ったから。
自分も彼も終わりがあって、けれど音は必ず続いていくものだと最初に教えてくれたその日から僕にとって彼の存在は主人である枠を越えた。
純粋に彼の音を表現したいと思った、その気持ちは。
「……君もいつか、そんな思いを感じるだろうか」
そんな人に出会えるだろうか。
君はどんな音を紡ぐのだろうか。
僕は未だ目覚めを待つように眠る少女の映像に語りかけ、ゆっくりとそれを見つめていた彼に視線を移して笑う。
笑い返す彼の瞳は矢張り穏やかで温かかった。
>>まさかのボーカロイド、お兄ちゃんネタ。
本当なんて言うかお兄ちゃんに弱くないですか自分(苦笑
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
ブログ内文章無断転載禁止ですよー。