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まぁ。それはそうとどうしてそうなって、そうなったのか。
検索機能を使いながらユーリは隣で深刻な顔で黙り込むフレンを見詰める。
主に命じられるままに弾き出したのは数件の花屋だ。その後からだんまりを続けるフレンの傍らでユーリは暇そうに欠伸を噛み殺した。
冬に差し掛かったとは言え、長閑な昼下がり。
葉を落として寂しくなってしまった枝の合間から射し込む陽光は穏やかで温かい。
その、夏に比べたら控えめな光がフレンの金糸を染めて、とろりと溶けるような蜜色に変化させていた。
傍らで光の波紋がゆらりと動いては、残滓を弾く髪を眺めてユーリが「ん?」と声を僅かに漏らす。
「……どうした、」
「フレン。メール」
つい、と腕を引いてメールの着信を告げる。
髪を結わえていたシンプルだが気の利いた革製の結い紐を揺らしてユーリがメールの確認を促す。
「フレン」
「……ん、おいで」
差し出される手を迷わず取って、ユーリがフレンにメールを差し出した。
擬人プログラムが内包されている最新の携帯事情に置いて、人格を優先されるのは珍しいことではないが、ことフレンに関して言えば、機種を変える際にもプログラムを移行させると言い切るほどの尊重っぷりだ。
優しく手を引かれて、返信をお願いしたいと耳元で囁かれてユーリは小さく笑った。
「それよりさ」
「……うん?」
「早く買う花でも決めて、生身で会いに行ったら?」
その方が喜ぶ、と付け足せば。
困ったね、本当に。と優しく笑った、持ち主が僅かに冬風に晒されて乱れたユーリの髪を手で梳いた。
>検索機能とメール機能。
携帯:ユーリ、持ち主:フレン。
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
ブログ内文章無断転載禁止ですよー。