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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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それはいつものことでもないのだが、どうにも吃驚するくらいに指先が冷たかったので
「……レイムさん、離してくれませんか」
心配になっただけだったのだけれど、相手にとっては意味不明な行動でしかなかったらしい。
少し困ったように名前を呼ばれてレイムも握ったままの手をどうしたものかと考える。かといって手を離してしまうのも不自然な気もするし、このままというのも良くない気がした。
「……? レイムさーん? 聞こえてます?」
ひらひらと握られてない方の手を眼前で振って確認しようとする相手が、しかし矢張り困ったように首を傾げた。
反応がないのではどうにも出来ないと言った様子で自分が振った手を見下ろしている。
「ザークシーズ、寒くないか?」
「……はい? 何ですか、突然」
指先の温度は握っても余り変わらない。冷たいままで何も変わっていない。
「レイムさん、どっか具合が悪いんですカ? だったら無理しない方が良いと思うんですケド」
「それは」
困りましたネェ、と小さく呟く相手の存外華奢な肩に手を掛ける。指先は離してしまった。
「こっちの台詞だ! お前、絶対に体調良くないだろう?!」
思わず上げてしまった声に相手はきょとんと目を丸くして、笑う。
「いいえ」
それは年上が子供をあやすような笑みだった。無理をして尚も心配をさせないような表情。
「大丈夫ですよ。心配性ですね、レイムさんは」
だからもう一度冷たくなってしまった指先を掴んだ。

「お前の言葉は信用ならん」



>>だから温度をあげたいと思う
   そんな眼鏡と帽子屋さん。

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此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。

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