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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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今「気分はどうだ?」と誰かに聞かれたら、「史上最悪だ」と答えるだろう。
尤もいつものように淡々と台詞を薄い唇に乗せられるかどうか、今の元就には自信が無かった。
歩く度に吐き気を催し、挙句眩暈まであるときたら世界がひっくり返るような感覚だ。
そして何よりも身体全体が軋むような痛みを上げてるし、倦怠感は伴っているしで、何から不機嫌要素を並べ立てたら満足できるのかも知れたものではない。
ふらふらと覚束無い足取りで何とか自身のアパートへの帰路を歩いているというのに、ちっとも辿り着ける気がしなかった。
自然と上がる息が苦しくて、だというのに感覚が何処かにいったようで、その曖昧な感覚に更に苛立ちを覚える。
吐き気は消えない。眩暈も同じ。
元就は、そっと肩から掛けていた鞄の中に入れた薬の存在を思い出した。
処方箋と共に渡されたそれ。
本来ならば使うことも無いだろう、と高を括っていた代物。
処方されたのは4錠。うち2錠は、通院先で飲めと指示があって飲んだ。
残されたのは2錠。
最初の服用から12時間後の服用。
少しこの症状が治まったころに、また苦しめといわれているようで元就は小さく呻いた。
本来ならば有り得ない不自然なホルモンの量をとれば、身体が悲鳴を上げて然り。これはその為の副作用だった。
けれど、と。元就はきつく鞄の紐を握って血の気の失せた自分の手を翳した。
ほっそりとした手に、その手首辺りにくっきりと残る痣がある。
強い力で握られたかのような痕はまだ新しい。

「……くそ。忌々しい」

小さく吐き捨てて眩暈をやり過ごし、吐き気は堪えて何とかアパートの近くにまで辿りつく。
部屋に戻ったら寝てしまえば良い。
そうして決まった時間に薬を飲んだらまた寝てやり過ごす。それしか方法は無いと思った。
大体こんな状況に追い込まれたのは自分のせいではない。
いや自分の失態も原因かもしれないが、法律を後ろ盾に訴えるならば百の確率で勝利することが出来るだろう。
知らずに噛んだ唇から鉄錆の味がした。
感覚は薬のせいでボロボロで、身体もボロボロだった。
今更少しくらい傷が増えた所で何も構わない、と半ば自棄になって重い足を引き摺って歩く元就の目の前に唐突に腕が伸ばされる。
感覚が、遠い。
咄嗟の反応も取れずにぼんやりと伸ばされた逞しい腕を、その腕の主を確かめるように視線を上げて元就は言葉を失う。

「よお」

低い掠れた声は、つい最近聞いたものだ。
正確には昨日。
力の入らない身体でそれでも元就はすっと姿勢を正した。

「……よく、我の前に姿を現せたものだな」

からからの喉から絞り出す声は少しだけ無様で、それさえも気に入らないと元就は眉根を寄せる。
不機嫌極まりない。
あの後、自分の前に全く姿を現さない、と予想したが違ったらしい。

「まぁ…気になったからな」
「…気になった、だと?」
「ああ」
「…我に訴えられる覚悟があるということか?」

笑ったつもりだったが、上手くいったのだろうか。
元就よりも頭一つ分は優に背の高い男が、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
元就の行く手を遮った手が、元就の鞄を持つ手を掴んだ。そう、丁度手首を。
痣に一致するように握られて、元就は小さく息を呑む。

「俺は気の強い女は好きだぜ? けどよぉ」

カタカタと自然と震える身体が止まらない。
眩暈も吐き気も一瞬遠ざかって、強く感じたのは恐怖。

「また酷い目に遭いたくないだろう?」

諭すように低い声が耳朶を打つ。
誰のせいだ、と反論したいのに声は出なかった。ただ、掠れた呼吸だけが漏れる。
条件反射で怯える身体は正直だ。
当たり前だ。昨日の今日で感覚が、恐怖が払拭されるはずが無い。
無理矢理開かされた身体には、相当の負担が掛かっている。

「……おい、何とかいえよ?」

手首を掴んだまま。
反応の無い元就を覗き込むように男が屈んだ。
色素の薄い青い瞳が覗く。
その瞬間、身体が限界を訴えた。一際強くぐらついた視界に額を押さえた元就は、しかし体勢を保つことが出来ずに傾ぐ。

「…おい?!」

その細い体を抱き止めたのは、目の前の男で酷く慌てた様子の声音に焦点の暈ける視界で何とか男を見る。
こんな、こんな状態にしてくれたのはお前じゃないか。
言葉は出ずにただ本当に心配そうな瞳だけが見えて、その瞬間元就は意識を手放した。






>>突発的に現代パラレル親就?
   元就は女性。文章で察しがつくかな。
   前日元親がこれこれこう…を無理にしやがりました。
   つか、何この設定…^^;
   いやついうっかり今日モーニングアフターピルのあれやこれ…が
   出てきたので(意味分からん)
   使ってみようと思ったら、この展開しかなかった。
   だってこのピルを使うこと自体大体不穏な時でしかないんだよね。
   ……ごめん反省してるよ。

   でもね、鬼畜なアニキも。鬼畜なオクラも嫌いじゃないんd…(黙れ)
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そんなところです。

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