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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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剣戟の音は余りにも澄んで何かの楽器が奏でられているようだと、錯覚を起こしそうだった。
けれど胸の奥。
痛みを知ってるのだ。少女は一度死を賜り、何の巡り会わせか姿を変え此処にいるに過ぎない。
何度も繰り返される自問と。
唯一度だけ静かに問われた彼の人からの問い。

争いを繰り返すことの愚かしさと悲劇に、螺旋とも無限ともつかぬ争いの歴史に終わりは無い。
もし途絶えるのだとするならば、世界が終焉に導かれた時か、或いは”人”という種が絶えた時以外にはない。
定め。
予め決められた運命のように、血に濡れた烙印は種の奥深くに刻み込まれている。
誰も、逃れることの出来ないもののように。
けれど、ならば、何故愛など。何故慈しむ心など。何故、優しさなど。
相反するそんなものが存在するのだろうか。其れさえなければきっと誰も苦しんだりしなかった。
きっと誰も、嘆きの声をあげることはなかった。
ならば、これは?
争いを、忌々しい負の連鎖を止められぬと分かっていて、何故このような試練のような。
否、試練なのだろうか。
創世の時に初めて犯した罪。
人として愚かに知恵をつけたことが、そして兄弟をその手に掛けたことが、それ故に逃れられぬ定めとして烙印は押されたのだというのだろうか。
原罪を償うために、今もまだ人は歩き続け、償うつもりで罪を重ねる。


―なんと、愚かなことか。


悲しみに揺れた少女の赤い瞳が伏せられる。
夜空を映したような黒曜石の瞳は、契約を交わしたと同時に焔を宿す鮮烈な色へと変わっていた。
それでも彼女の悲しみが、薄れることは無い。
愚かだと、何故だ、と自らに問い続ける。
その姿は凛として儚く、それで不変のように強い。
静かであって揺るぎの無い、その命の煌きに、その強さに応じた悪魔は知られぬように嘆息する。


彼女の問いの答えはきっと、導き出すその答えはきっと、悲しいものでしかない。
だから一時だけでも彼女の想いに応えよう。
共に生きると、凛とした声で告げた彼女を待ち受ける運命は、過酷なものでしかないのだから。
誰にも見えないその姿で、悪魔は落日に染まる燃える様な天を仰いだ。
それは滑稽な程、祈りを捧げる姿に似ていて。



彼もまた、原罪を償う存在の一つに過ぎないのかもしれない。




>>La luz triste. =哀れな光

  SHイベリア小話。
  書かないとか言って書いてる罠(苦笑
  あれ、視点が交わりすぎてて分からなくなってるような。
  少し小難しい感じの文章って書いてみたいなぁ(苦笑)難しいですね。
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