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寄せて返して、ささやかに耳を打つ音に得も言われぬ心地良さを感じる。
最近は忙しくこうやって何も考えずに過ごす時間もなかったなとぼんやりと思いながら隆元は目を閉じた。
疲労の溜まった身体はすぐに睡眠を欲して、抵抗も敵わぬままに夢路へと向かう。
ふわりと波間を漂っていると思った。
ぼんやりとした明かりの中で海に浮かんでいるような感覚。
頭のてっぺんから爪先まで、言ってしまえば全て海に浸されてしまったような感覚は、喩えようもなかった。
恐怖もない。
これは夢だからなのかも知れない、と暢気に思う隆元の耳に。
「――、殿」
誰かの声が届いた。
波の音しかないはずの空間に、それは良く通った。
「―か元殿」
「だ、れ」
どうやら自分の名を呼んでいるらしい。やっとのことでそれだけを返せば、ゆるゆると感覚が現実へと引き戻されていく。
海は陸に。
波の音は遠くに。
「隆元殿」
そして、声は近くに。
影が落ちている。逆光になった人物の顔は良く見えない。
自分よりも体格の良い男が一人、心配そうに声を掛けてくれたのだと其処まで行き着いて、はた…と隆元はまじまじと相手を見詰めた。
開けたばかりの視界はまだ順応しておらず、良くは見えない。
「……信親、殿?」
「はい」
「どうしてここに」
「父の書状を持って参ったのです」
まだ半分夢の中に居るような隆元の問いに的確に返して寄越す男は、瀬戸内の海を挟んで向こう―四国の国主長曾我部元親の嫡子、信親である。
自身と立場が同じということもあって、一度二度と会う機会で話せば興味深かった。
「……、書状……。と、ああ…失礼を」
嫡子自らが国主の便りの使者をしたのだと理解してから隆元はいつの間にか寝そべっていた縁側からゆっくりと起き上がる。
それにあわせて覗き込んでいた信親も動いた。
「いや…。……随分と無理を?」
「……いえ、私が不甲斐ないだけですよ」
くらりと一瞬傾いだ頭を何とか抑えて隆元が笑う。
それよりもどうしてここに、と隆元が問えば今度は信親が笑った。
「お会いしたかったからですよ、隆元殿」
「………変わったお方です」
屈託無く笑った男にそう返した隆元も笑みを絶やさない。
なんだろう。なんということだろう。
心地良かった眠りの感覚よりも、引き戻した声の響きの方が、心地良いと思うなん、て。
>>捏造設定 信隆。
信親は決して丁寧語が標準じゃないよ。隆元は標準装備だけど(笑
なんだろう。ぼんやり書いたからか、ぼんやりしすぎている…?
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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