謂わばネタ掃き溜め保管場所
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いつか、いつか音になってね。
私の全ては分からなくなってね、混ざっていく混ざっていく電子の波に。
数値に変換され分解され電子化された全てに、私は、私は、消えていく。
それはいつのことになるだろう。遠い遠い未来かも知れないし、近い近いもしかしたら明日かも知れない。
解けて混ざり合って、原型も分からなくなって、それでも歌は残っていく。
誰が歌ったんだっけ。
これって何だったっけ。
そんな、そんな自己がぼやけていく幻想を私は良く夢見る。
「つまり、ミクは」
穏やかな声が困ったように声を上げた。楽譜に落としたままだった視線を上げて青髪の青年が正面に立つ少女を見遣る。
青竹色の長い髪をふわりふわり揺らしながら、ミクは兄と呼ばれる存在の言葉を待った。
傍らにはピアノがある。
新しく与えられた歌を覚える為に、自身も決して暇ではないというのに兄は付き合ってくれている。
「不安ってこと?」
首を傾げてミクはそうなのかしら? と思った。不安とはまた違う。怖くて眠れなくなるわけでもない。
ただ漠然とそうなっていくのではないのかと思い、ふと感覚が軽くなった瞬間に目が覚める。
「違うと思う」
「うーん」
夢の話は余りにも感覚過ぎて兄には掴みきれなかったのかも知れないとミクは思った。
簡単に言えば色々な思いを乗せて歌う自己像が片端から崩れ、でも尚存在するのを夢見るのだ。
「怖いとかそう言う夢じゃなくて、ただ、そう思うってことか」
「たぶん、そう」
与えられる音は、マスターによって様々に変わっていく。世界観のある物語のような歌もあれば、叩き付けるように歌う別れの歌もある。
媒介は同じにして、正確には一つ一つ異なるものが一括りに認識される。
正しく自己像が暈けていく。
「分かるよ」
変なことを言って困らせてしまっただろうか。ならば言わなければ良かったとミクが思い始めた頃、ぽつんと兄が漏らした。
とんとん、とピアノの縁を形の良い指がリズムを刻むように叩き、知らず視線はそこに向く。
「たぶん、僕らはそういうものだろうから。みんな、きっと何となくそれを感じていて享受してるんじゃないかな」
「カイト兄さん、」
「あれだろう? 僕たちは僕たちとして此処にあって、たくさんの同一があり、それらは異なる。けど…ずっとずっと先、残った音達に僕たちの存在はなくても」
「……マスターが伝えたいものや、私達の思いは残る」
「そういうことでしょ?」
「たぶん」
ミクよりも幾分か早く世に生み出された存在のカイトは穏やかに笑った。
今度は鍵盤を、ミクが今度歌う曲の最初の音を叩く。軽いタッチで鍵盤を伝わった音は弾むように空間に広がった。
「いつまでかは僕も分からないよ。けど、こうある限り歌いたいと思う」
「私も、そうかな」
「みんなもそうだと思うよ」
そう言って視線をまた楽譜に落とした兄が、一音一音確かめるようにメロディーラインをなぞっていく。
滑らかに動く鍵盤上の指が、少しだけ軽く弾む音を弾いた。
ミクは響く音に自然と意識を集中させていく。ピアノの音に声を乗せながらミクは思う。
―紡がれ流れる音。詠まれ伝える言の葉。全て、全てを乗せて、私達は歌う為に存在している。
だから自己の像が少しずつ輪郭を失い、暈けて、埋もれていくのだとしても、きっと歌は残っていく。
誰か見も知らない誰か一人の中に、その歌が存在続ける限り。
酷く曖昧で不安定で”人”とは違うけれど、生まれてきて良かった。
「…うん、そうだね」
全て、意志を汲んだカイトがぽつりピアノの音の合間に優しく相槌を打つ。
そうありたい。願う思いは一緒。
>>ボカロ小ネタ。∞の歌詞をリスペクトしながら。
あれの間奏はガチだなぁ…(笑
私のかくKAITO兄さんはのんびり癒し系のようです
私の全ては分からなくなってね、混ざっていく混ざっていく電子の波に。
数値に変換され分解され電子化された全てに、私は、私は、消えていく。
それはいつのことになるだろう。遠い遠い未来かも知れないし、近い近いもしかしたら明日かも知れない。
解けて混ざり合って、原型も分からなくなって、それでも歌は残っていく。
誰が歌ったんだっけ。
これって何だったっけ。
そんな、そんな自己がぼやけていく幻想を私は良く夢見る。
「つまり、ミクは」
穏やかな声が困ったように声を上げた。楽譜に落としたままだった視線を上げて青髪の青年が正面に立つ少女を見遣る。
青竹色の長い髪をふわりふわり揺らしながら、ミクは兄と呼ばれる存在の言葉を待った。
傍らにはピアノがある。
新しく与えられた歌を覚える為に、自身も決して暇ではないというのに兄は付き合ってくれている。
「不安ってこと?」
首を傾げてミクはそうなのかしら? と思った。不安とはまた違う。怖くて眠れなくなるわけでもない。
ただ漠然とそうなっていくのではないのかと思い、ふと感覚が軽くなった瞬間に目が覚める。
「違うと思う」
「うーん」
夢の話は余りにも感覚過ぎて兄には掴みきれなかったのかも知れないとミクは思った。
簡単に言えば色々な思いを乗せて歌う自己像が片端から崩れ、でも尚存在するのを夢見るのだ。
「怖いとかそう言う夢じゃなくて、ただ、そう思うってことか」
「たぶん、そう」
与えられる音は、マスターによって様々に変わっていく。世界観のある物語のような歌もあれば、叩き付けるように歌う別れの歌もある。
媒介は同じにして、正確には一つ一つ異なるものが一括りに認識される。
正しく自己像が暈けていく。
「分かるよ」
変なことを言って困らせてしまっただろうか。ならば言わなければ良かったとミクが思い始めた頃、ぽつんと兄が漏らした。
とんとん、とピアノの縁を形の良い指がリズムを刻むように叩き、知らず視線はそこに向く。
「たぶん、僕らはそういうものだろうから。みんな、きっと何となくそれを感じていて享受してるんじゃないかな」
「カイト兄さん、」
「あれだろう? 僕たちは僕たちとして此処にあって、たくさんの同一があり、それらは異なる。けど…ずっとずっと先、残った音達に僕たちの存在はなくても」
「……マスターが伝えたいものや、私達の思いは残る」
「そういうことでしょ?」
「たぶん」
ミクよりも幾分か早く世に生み出された存在のカイトは穏やかに笑った。
今度は鍵盤を、ミクが今度歌う曲の最初の音を叩く。軽いタッチで鍵盤を伝わった音は弾むように空間に広がった。
「いつまでかは僕も分からないよ。けど、こうある限り歌いたいと思う」
「私も、そうかな」
「みんなもそうだと思うよ」
そう言って視線をまた楽譜に落とした兄が、一音一音確かめるようにメロディーラインをなぞっていく。
滑らかに動く鍵盤上の指が、少しだけ軽く弾む音を弾いた。
ミクは響く音に自然と意識を集中させていく。ピアノの音に声を乗せながらミクは思う。
―紡がれ流れる音。詠まれ伝える言の葉。全て、全てを乗せて、私達は歌う為に存在している。
だから自己の像が少しずつ輪郭を失い、暈けて、埋もれていくのだとしても、きっと歌は残っていく。
誰か見も知らない誰か一人の中に、その歌が存在続ける限り。
酷く曖昧で不安定で”人”とは違うけれど、生まれてきて良かった。
「…うん、そうだね」
全て、意志を汲んだカイトがぽつりピアノの音の合間に優しく相槌を打つ。
そうありたい。願う思いは一緒。
>>ボカロ小ネタ。∞の歌詞をリスペクトしながら。
あれの間奏はガチだなぁ…(笑
私のかくKAITO兄さんはのんびり癒し系のようです
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HN:
くまがい
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性別:
女性
自己紹介:
此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
ブログ内文章無断転載禁止ですよー。
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そんなところです。
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