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突然の出来事だった。
段差に掛けた方の足場が崩れ落ちて視線が崩れる。落ちる、と思うのと同時。
一瞬重力から開放された体は急速な落下によってもう一度重力に捕らわれる。
視界がくるりと反転する。驚くよりも先に何もかもが分からなくなりそうな―…。
「……え?」
意識を手放そうとした瞬間。
放り出され不安定に揺れた手を何かが掴んだ。
一際強く衝撃が走り、しかしそれ以上の落下は無い。
支えられた手は軋み鈍痛が走る。
何事が起こったのかと事態を把握する前に、視界に柔らかな青が映った。
空? 否。それはふわりと風に揺れた、
「…大丈夫、かしら?」
優しい女性の声が降る。
見上げた視線が金緑色の瞳と絡んだ。少しだけ苦しそうに寄せられた眉が自分を支えているという事実を言外に物語る。
「あの…っ」
呼びかけるよりも先に女性の手がもう片方添えられる。
ぐっと引き上げられる力はしかし女性の物で大人の男1人を持ち上げるのには些か足りない。
もう一度引き上げようと力を込めた女性に合わせて不安定に揺れていた足を引っかかる足場に掛けて反動を利用して上に飛んだ。
「上出来ね」
小さく女性が歌うように呟いた言葉。
一瞬の浮遊感は音素の介入によるものかと冷静に頭が判断するのと同時に引き上げられた体が足場を得る。
「……無事?」
「あ…、はい。助かりました」
女性の髪は長く伸ばされた柔らかな青。
あの時、視界の端を掠めたのはその色。
金緑を閃かせる瞳がふっと伏せられ彼女が安堵の息を吐いた。
「えぇと…」
「良かったわ」
「ありがとうございます」
「いいえ。どう致しまして。…けど、一人で来るには些か危険な場所ではないかしら。ガルディオス伯爵」
にこり。
穏やかな印象さを残したまま嫣然と微笑んだ女性が名を紡ぐ。
「…貴、女は…」
「私はフィオリトゥーラ。教団の任で此処に調査に来たの」
それ以上の詮索は許さない、と。
笑顔の裏に貼り付けたまま名乗った女性は複製された故郷の地の景色に良く溶け込んでいた。
>> 捏造女性版カンタビレの冒頭部分だったメモ書きを文章に書き起こしてみたもの。
結局日の目は見れなかったっていう(苦笑
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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