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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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遠く海鳴り。
私は何処に行くのでしょうと呟いた背中に追い縋る。振り返った人の表情は暈けてよく見えない。
ただ小さく笑って駄目ですよと窘められた。まるで子供が駄々を捏ねた時に母親が穏やかに言う時と同じ口調なので悔しくなってそうじゃないと言う。
ならばなんだと言うのだろうとぼんやり細い腕を掴んだまま自問自答した。
何を怖がっているんだろう。
今更過ぎて答えを探そうにも、片っ端から思考は浚われて行ってしまう。
砂漠の中で砂金の一粒を見つけるほど途方もなく無意味な作業に思えて、しかしその一粒の希望を諦めきれないで自分は此処にいるのだ。
分からない。
駄目ですよ、ともう一度。今度は少し悲しげな雰囲気さえ滲ませて言葉が落ちる。
ぽつりと乾いた大地に滲み込む雨粒のようだと思った。
不意に一粒の希望が何であるのか、思い出して胸が苦しくなる。
言いたい言葉を知る。
嗚呼なんてなんて馬鹿なこと。

「…、駄目ですよ。それを言ったら進めなくなります」

唐突に聴覚が鮮明に音を拾う。穏やかな抑揚のない声に泣きそうになるのを必死で堪えた。
なんてことだ。馬鹿すぎて可笑しくなる。
欲しかったのは、望んだのは、こんなことだったなんて。
奪ったことに対する罪悪感だったなんて。
それを懺悔したいだけだなんて。

「―嗚呼許してくれなんて、言わないよ」

一生言わない。
だって懺悔しようがしまいが、お前は僕の罪を赦しはせず、それでいて僕の存在を容認するだろうから。




>>イメージのままに。
   限りなく平行線で、それでいて交わったんだろうなぁ。この二人。

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そんなところです。

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