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報告を受けて眉間に皺を寄せた自分の麒麟に、歌うよう月は言葉を投げつけた。神経を逆撫でしてしまうかも知れない等分かりきっていて態とやった。
麒麟という存在は人間からしてみたら綺麗事のみで構成されているみたいに偽善的だ。
「なぁ、だから言っただろう?」
「……何をですか、月君」
親指を唇に押し当てて何やら考え込んでいた竜崎が視線を向ける。深い漆黒を切り出したような瞳が探るように見詰めてくるので殊更優しく笑ってやった。
「長くは続かない、ってさ」
形の良い唇から紡がれた言葉の響きも優しい。
しかし竜崎はその言葉で眉間に深く皺を刻んだ。
「貴方って人は」
「何?」
「……、どうしてそういうことを楽しそうに言えるんですか」
「別に? 楽しくなんて無いけどね」
実際問題全くの無関係ならば傍観のみで済むので楽しむだけなのだけど。
隣国の国政の悪化は自国にまで及ぶ。治安が悪くなり妖魔が跋扈するようになれば荒民として豊かで安定している巧を頼ってくる事は容易に予見出来た。七百年続いた王朝は確かに他国の荒民の救済を手伝えるくらいの余裕はある。しかし限度もある。
色々とこれからのことを考えて動かなくてはなるまい。
「楽しそうだから言ったんですよ」
「別に楽しくは無いよ。仕事も増えるしね」
「月君」
責めるように名を呼ぶ竜崎に月は笑う。
「僕は最初にも言ったはずだけど?」
「……景王が景台輔の名をつけた時でしたか」
「よく覚えてるじゃないか」
隣国の王が麒麟に名をつけたのだと風の便りで聞いたのは、景王が登極してから一月半後のことだったろうか。
大人しく話を聞いていた月が竜崎以外誰も無い場所で言ったのだ。「この王は長く続かないな」と。
「覚えています」
頷いた竜崎の脳裏にはその時に月が浮かべた表情が鮮明に描き出される。心底冷たい表情で笑って言い放ったので何も言えなかった。
「それでも頑張った方だと思うよ。八十年は続いたじゃないか。…僕はもっと早いと思っていた」
「月く、」
「模倣したって無駄だよ。最初からそれを考えれば後はなくなる。模倣品は所詮本物にはなれず、超えることも敵わない。模範くらいにして置くべきだったね」
竜崎の片腕を掴み引き寄せてそう言えば更に眉間に皺が寄った。
言いたいことくらいこの聡い相手は判っている。
「僕と景王は違うし、お前と景台輔は違う。……そんなの判りきったことなのに」
麒麟の名は王によってつけられるものならば、須らくどんな思いであれ王の意志が反映される。
耳元で「そうだろう、竜崎」と態とらしく呼ばれた名前に竜崎は身を竦ませた。
「だから、愚かだって僕は言ったんだよ」
―お前と同じ名を麒麟に与えるなんて、ね。
>>十二国ですの。
もうネタとして定着してきた挙句自分的に今一番ベクトルが向いてるので治まるまで書くしかない(…)
竜崎って名前はたぶん本編だとBが先に名乗ってるんだろうけど、この時系列から行くと月の方が先に王になってるのでBの竜崎は後につけられた名前。それを聞いたときの月の反応ってどんなだったかなとふと思ったのでそんな妄想(…)
前日の話のほぼ同じ時間軸での話かな。若干後か…。
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サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。
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