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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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ほら、喩えばよぉ。
これが今生の別れになったらどうする?

縁側でくつろぎながらのんびりと言うには不釣り合いな言葉だなと、白日の下で晒される白銀の髪を見詰める。
ゆったりと吹く風を感じながら、元就は書きかけだった書状を書き上げて筆を置いた。
ことりと乾いた音に反応したか縁側に寝そべっていた背中が振り返る。

「終わったのか」
「…ああ」
「お疲れさん」

にっと笑った男に、何の表情も返さず元就はすっと立ち上がった。
数歩で縁側に辿り着いた元就は許可を取るでもなく男の横に座る。
当たり前のような所作は、結局男にとっても元就にとっても当たり前のことだった。

「…下らん喩え話だな」
「ん?」
「先程の、だ」
「…ああ。でもよぉ、有り得なくない限りなく現実に近い喩え話だろう?」
「だから下らんと言ったのだ」

一言で切り捨てた元就は、けれどふと陽光の下で見る自分の掌に視線を落とし、微かな声で問うた。

「ならば、我も問おう」
「うん?」
「此度が、我とそなた…最後の逢瀬となるならば、どうする?」

言葉と声は違えど先程と同じ問い。
一瞬呆けた男は、しかし次の瞬間には酷く獰猛な笑い方をする。

「そうさなぁ」

じっと元就を射抜く視線は鋭い。
それに怯むことなく言葉を待ち続ける元就の首に、這うように大きな掌が触れた。

「誰かに奪われるのは惜しい。…此処で俺が殺っちまうか…」

その気になれば元就など縊り殺せてしまうだろう手は、しかしそうはしない。
緩やかに確かめるように元就の首をなぞった後、優しく元就の髪を梳いた。
そして首の後ろに回した手を己の方に引き寄せるようにして、元就の身体を引き寄せる。
互いの吐息が掛かる距離。
その近さで見詰めた男の目の色は海の色を模している。

「それか。取り戻せばいいだけの話だろう?」

誰がいつ貴様のものになったというのだ。
抑も黄泉に赴かねばならぬ話かも知れぬと言うのに、容易く言うものよ。


小さくそう言えば、男は笑う。
先程とは違う無邪気な笑みで。

「黄泉なんざ怖かねぇよ。俺は鬼だからな」

そうして軽く口吻付けてきたのを甘受して元就も笑う。


「そうに違いない」




>>こんな雰囲気の親就もえ。
   大人なんだか子供なんだか、おとこらしいんだか、そうじゃないんだか。

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此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
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そんなところです。

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