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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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嗤う。
歪みを含んだ笑い声が空間を滑り落ちていく。まるで壊れてしまったみたいだと、幼馴染みの変わりようにアスランは唇を噛んだ。
天窓から注がれる陽光が、柔らかな栗色の髪を甘い色に染め上げる。
伏せられた瞳は長い睫に彩られて、けれどその下、侵されることのない至高の色が奇妙に揺れた。
ねぇ、と力ない声で呼びかけられる。
それにアスランは答えられなかった。名前を呼んでやることさえ出来ない。
喉が焼けてしまったように渇いて引き攣った呼吸音だけが漏れる。
右手に持ったままの銃がやけに重く、微かに指先だけが震える。
伏せ目がちだった幼馴染みが静かに顔を上げた。
柔らかに笑みを浮かべた表情に、一瞬の錯覚を覚える。
目の前にいる彼は自分のよく知っている幼馴染みだ、と都合の良いように解釈しようとした寸前で幼馴染みが口を開いた。
はっきりとした口調は奇妙に耳に残っていく。

「ねぇ、アスラン」

呼ばれた名。
聞き慣れた声で、聞き慣れた口調で。
なのに背筋を這い上がった悪寒は払拭されずに、アスランは息を吐くとそれを凝視した。
幼馴染みの、その姿で、全く違うように見えるそれ。

「…………お前は、誰、だ」

だからこそ、問うた。
それに幼馴染みは幼い頃からよく知ってる笑みを浮かべる。


「誰って? ………僕が誰だって関係ないじゃない。アスラン」
「…お前」
「さぁ、僕を殺しに来たんでしょう? 右手に持ってるそれで、ちゃんと僕の此処を撃たないと」

するりと自身の心臓をなぞるように掌を宛てて笑う。
その仕草に嫌悪感を覚えた。目の前が暗くなる。気付けば構えた銃口を相手に突きつけていた。

「外さないでね。君の腕が良いのは知ってるけど」

痛いのは嫌なんだ、とぽつりと呟いて彼が笑う。


「キラ…」
「ねぇ、アスラン知ってた? 僕はね、君のことが大嫌いだったんだよ」

残酷に告げられた言葉に思考は全ての罪悪感を停止させた。
指をかけた引き金を引くのに、対して時間は掛からない。
耳を裂くような銃声の後、ゆっくりと微笑みながら傾いだ身体を呆然と眺める以外にアスランに出来ることはない。
ただ少しだけ優しく「それでいいんだ」と言葉がかけられたような気がして、倒れ込んだ幼馴染みの姿を凝視する。
笑うことも泣くことも、叫ぶこともしなかった。

 

分かってしまった。
後で、一人になって、最後の言葉の意味を、推し量れば。
嘘の下手な幼馴染みが吐いた最期の嘘は、アスランを騙せるくらいには上手だった。





>>アスランについた最後の嘘。
   後に気付いたキラの嘘。

   ……此処に種の話を書く時は大体、死にネタだ。なぜ…^q^

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ふわりふわりと感覚が浮く。気持ち悪い、と無意識に呟いた元就は薄っすらと、しかし次第にはっきりして行く視界に訝しげに眉を顰めた。見慣れない天井だ、と思った。
覚醒した直後の思考回路はすこぶる動きが鈍い。緩慢な動きで上体を起こすと、微かな音で扉が開き声が掛けられた。

「やっと起きたか」

掠れがちの低い声が元就に掛けられる。ゆるゆると視線を彷徨わせて、元就は自分は夢でも見ているんだろうかと他人事の様に思った。
昨日のことがあったから。自分でも知らぬうちに精神的にも傷は大きくて、こんな夢を見ているのか、と。
同時に頭のどこかで否定される。都合のいい事がある訳がない。
何処で意識が途切れた?

「……此処、は」
「ああ。…俺んち。後で家まで送ってってやるよ。倒れて家に運ぼうとも思ったんだが知らなかったからな」

さらりと言ってのけた男が、口の端に笑顔を貼り付けたまま近づいてくる。
どかりとベッドの端に腰を下ろすと不安そうにその行動を見守っていた元就の頬にゆっくりと手が触れた。
その手は不思議な、掌は温かいのに指先は冷たくて、思わず肩を震わせた元就に男が笑う。

「…そんなに怯えんなよ」

男のベッドだったのだろう。寝かされていたベッドに視線を落として元就はまたしても自身の失態を呪った。
運が無いと言えばそれで片付けられそうな程の確率で引き起こされる現実。
けれど起こってしまえば百でしかないのだ。
昨日は道の真ん中で蹲るようにしてた男に、(―普段ならば無視するのだが)何故か声をかけてしまった。
まさかとんでもないことになるとは予想してなかった。

「…少し熱があったみてぇだな。…今は下がってるが」
「……熱」
「動けるんなら家に送るぜ?」

ぎしりとベッドに付いた腕に男が体重を掛けたからか、スプリングが悲鳴を上げる。

「………良い。一人で帰れる」

掠れた声で答えた元就に、男が低く「ふぅん」とだけ呟いた。
何故か恐ろしいと感じた直後、俯いていた元就は顎をつかまれて上を向かせられる。
男と目が合う。
色素の薄い青の瞳。空というよりは海のような色の。

「……はな、」
「薬」
「……?」

離せ、と言いたかった。
元就はしかし男が呟いた言葉が理解できずに、言葉を飲み込む。
ベッドの近くにあるテーブルに徐に手を伸ばし、男が何かを摘み上げた。
それは、白い小さな紙袋に入っていた―。

「……っ」

咄嗟に元就はそれに手を伸ばす。触れた瞬間に男が手を引いた。掠めただけで奪えなかった紙袋を見詰めながら、元就は小さく息を吐く。

「12時間後。あんたが、倒れてからもう10時間は経ってる。そろそろ時間なんじゃねぇか?」

処方箋に書かれた内容でも読んだのだろう。
コップがテーブルの端に置かれて、悪戯に元就から薬を遠ざけた腕が今度は薬を受け渡す。
大人しく受け取ってから元就は呆然と男に視線を向けた。
処方箋を読んだというのなら、これが何であるのかなど知っているはずだ。

「飲まねぇのか?」

答えの読み取れない表情で男がコップを手渡した。
視線を落とし暫く考え込んだ後、観念したように元就が薬を渡された水を使って嚥下する。
こくり、と喉を鳴らして飲み終わった途端に視界が突然動いた。
ベッドの端に腰掛けていた男が元就を押し倒したのだと気付くのに数秒掛かる。

「……お、まえ」
「警察には出したのか?」

見下ろされて問われる。
男の掌の下敷きになった手首が痛い。

「……いや」
「病院には行っといて?」
「…そちらの方が大事だろう?」

挑むように見上げれば男が笑った。
何故笑われねばならないのか、と文句の一つが出かけた唇が塞がれる。
無理に施された口吻に元就の思考が停止したのも束の間、空いた方の手で男の胸板を叩いた。
薄く開いた唇から男の舌が口内に侵入する。
歯列をなぞり戸惑う舌を捕えて、男は元就の口内を深く貪った。
嫌だ、と出かけた言葉は飲み込まれる。
長い接吻に呼吸も侭ならず、男が元就を解放したときには完全に息が上がっていた。

「…は、ぁ」

短く息を吸い込んだ元就を至近距離で男が覗き込む。
重力に従って落ちてきた銀髪が元就の頬に掛かった。

「……家まで送ってやるよ。そんなんじゃ、まともに歩けないだろ」

反論しようとした元就に男が意地悪く笑う。

「薬飲んだし、またすぐにぶっ倒れるかもしれない。…なぁ?」
「…え?」

至近距離だというのに更に距離を縮めて、耳元で囁かれた言葉に元就は小さく問い返すことしか出来なかった。
何を言ったのか理解できずに、けれど数秒後簡単に状況を把握した元就の頭は完全に恐怖に捕われる。
名を呼ばれた。知られてはいない筈だった、のに。
―そうだ、と元就は内心一人ごちる。
薬のことを知っていたということは、自分の持ち物は全て調べられていると何故すぐに気付かなかったのか。
鞄の中には社員証も免許証入っている。
名前も住所もすぐに知られてしまうことだった。
何事も無かったかのように男が立ち上がって、元就の腕を掴み上体を引き起こす。

「行くぞ」

有無を言わさぬ言葉に、元就は従うしかなかった。
ベッドの端に置いてある鞄を見つけてゆっくりと手を伸ばし、立ち上がる。
軽い眩暈がしたが倒れる前よりはマシらしい。
些か乱暴に腕を掴まれたまま、元就は男の後に付いて行く。
家まで送るという、それはきっと真実なのだろう。
ただ、元就にとっては一度だけの不慮の出来事で片付けようとしたことが、全く違う形を持ってしまったことが悔しかった。




>>うっかり続いた。現代パラレル親就(♀)。
   なんだろう。元親が酷く得体の知れないものに見える。

   そしてeroって何…?おいしいの?^q^
   書くのが難しくて断念しました。
   これこれこう ……って私には凄く難しいんだぜ。
今「気分はどうだ?」と誰かに聞かれたら、「史上最悪だ」と答えるだろう。
尤もいつものように淡々と台詞を薄い唇に乗せられるかどうか、今の元就には自信が無かった。
歩く度に吐き気を催し、挙句眩暈まであるときたら世界がひっくり返るような感覚だ。
そして何よりも身体全体が軋むような痛みを上げてるし、倦怠感は伴っているしで、何から不機嫌要素を並べ立てたら満足できるのかも知れたものではない。
ふらふらと覚束無い足取りで何とか自身のアパートへの帰路を歩いているというのに、ちっとも辿り着ける気がしなかった。
自然と上がる息が苦しくて、だというのに感覚が何処かにいったようで、その曖昧な感覚に更に苛立ちを覚える。
吐き気は消えない。眩暈も同じ。
元就は、そっと肩から掛けていた鞄の中に入れた薬の存在を思い出した。
処方箋と共に渡されたそれ。
本来ならば使うことも無いだろう、と高を括っていた代物。
処方されたのは4錠。うち2錠は、通院先で飲めと指示があって飲んだ。
残されたのは2錠。
最初の服用から12時間後の服用。
少しこの症状が治まったころに、また苦しめといわれているようで元就は小さく呻いた。
本来ならば有り得ない不自然なホルモンの量をとれば、身体が悲鳴を上げて然り。これはその為の副作用だった。
けれど、と。元就はきつく鞄の紐を握って血の気の失せた自分の手を翳した。
ほっそりとした手に、その手首辺りにくっきりと残る痣がある。
強い力で握られたかのような痕はまだ新しい。

「……くそ。忌々しい」

小さく吐き捨てて眩暈をやり過ごし、吐き気は堪えて何とかアパートの近くにまで辿りつく。
部屋に戻ったら寝てしまえば良い。
そうして決まった時間に薬を飲んだらまた寝てやり過ごす。それしか方法は無いと思った。
大体こんな状況に追い込まれたのは自分のせいではない。
いや自分の失態も原因かもしれないが、法律を後ろ盾に訴えるならば百の確率で勝利することが出来るだろう。
知らずに噛んだ唇から鉄錆の味がした。
感覚は薬のせいでボロボロで、身体もボロボロだった。
今更少しくらい傷が増えた所で何も構わない、と半ば自棄になって重い足を引き摺って歩く元就の目の前に唐突に腕が伸ばされる。
感覚が、遠い。
咄嗟の反応も取れずにぼんやりと伸ばされた逞しい腕を、その腕の主を確かめるように視線を上げて元就は言葉を失う。

「よお」

低い掠れた声は、つい最近聞いたものだ。
正確には昨日。
力の入らない身体でそれでも元就はすっと姿勢を正した。

「……よく、我の前に姿を現せたものだな」

からからの喉から絞り出す声は少しだけ無様で、それさえも気に入らないと元就は眉根を寄せる。
不機嫌極まりない。
あの後、自分の前に全く姿を現さない、と予想したが違ったらしい。

「まぁ…気になったからな」
「…気になった、だと?」
「ああ」
「…我に訴えられる覚悟があるということか?」

笑ったつもりだったが、上手くいったのだろうか。
元就よりも頭一つ分は優に背の高い男が、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
元就の行く手を遮った手が、元就の鞄を持つ手を掴んだ。そう、丁度手首を。
痣に一致するように握られて、元就は小さく息を呑む。

「俺は気の強い女は好きだぜ? けどよぉ」

カタカタと自然と震える身体が止まらない。
眩暈も吐き気も一瞬遠ざかって、強く感じたのは恐怖。

「また酷い目に遭いたくないだろう?」

諭すように低い声が耳朶を打つ。
誰のせいだ、と反論したいのに声は出なかった。ただ、掠れた呼吸だけが漏れる。
条件反射で怯える身体は正直だ。
当たり前だ。昨日の今日で感覚が、恐怖が払拭されるはずが無い。
無理矢理開かされた身体には、相当の負担が掛かっている。

「……おい、何とかいえよ?」

手首を掴んだまま。
反応の無い元就を覗き込むように男が屈んだ。
色素の薄い青い瞳が覗く。
その瞬間、身体が限界を訴えた。一際強くぐらついた視界に額を押さえた元就は、しかし体勢を保つことが出来ずに傾ぐ。

「…おい?!」

その細い体を抱き止めたのは、目の前の男で酷く慌てた様子の声音に焦点の暈ける視界で何とか男を見る。
こんな、こんな状態にしてくれたのはお前じゃないか。
言葉は出ずにただ本当に心配そうな瞳だけが見えて、その瞬間元就は意識を手放した。






>>突発的に現代パラレル親就?
   元就は女性。文章で察しがつくかな。
   前日元親がこれこれこう…を無理にしやがりました。
   つか、何この設定…^^;
   いやついうっかり今日モーニングアフターピルのあれやこれ…が
   出てきたので(意味分からん)
   使ってみようと思ったら、この展開しかなかった。
   だってこのピルを使うこと自体大体不穏な時でしかないんだよね。
   ……ごめん反省してるよ。

   でもね、鬼畜なアニキも。鬼畜なオクラも嫌いじゃないんd…(黙れ)
剣戟の音は余りにも澄んで何かの楽器が奏でられているようだと、錯覚を起こしそうだった。
けれど胸の奥。
痛みを知ってるのだ。少女は一度死を賜り、何の巡り会わせか姿を変え此処にいるに過ぎない。
何度も繰り返される自問と。
唯一度だけ静かに問われた彼の人からの問い。

争いを繰り返すことの愚かしさと悲劇に、螺旋とも無限ともつかぬ争いの歴史に終わりは無い。
もし途絶えるのだとするならば、世界が終焉に導かれた時か、或いは”人”という種が絶えた時以外にはない。
定め。
予め決められた運命のように、血に濡れた烙印は種の奥深くに刻み込まれている。
誰も、逃れることの出来ないもののように。
けれど、ならば、何故愛など。何故慈しむ心など。何故、優しさなど。
相反するそんなものが存在するのだろうか。其れさえなければきっと誰も苦しんだりしなかった。
きっと誰も、嘆きの声をあげることはなかった。
ならば、これは?
争いを、忌々しい負の連鎖を止められぬと分かっていて、何故このような試練のような。
否、試練なのだろうか。
創世の時に初めて犯した罪。
人として愚かに知恵をつけたことが、そして兄弟をその手に掛けたことが、それ故に逃れられぬ定めとして烙印は押されたのだというのだろうか。
原罪を償うために、今もまだ人は歩き続け、償うつもりで罪を重ねる。


―なんと、愚かなことか。


悲しみに揺れた少女の赤い瞳が伏せられる。
夜空を映したような黒曜石の瞳は、契約を交わしたと同時に焔を宿す鮮烈な色へと変わっていた。
それでも彼女の悲しみが、薄れることは無い。
愚かだと、何故だ、と自らに問い続ける。
その姿は凛として儚く、それで不変のように強い。
静かであって揺るぎの無い、その命の煌きに、その強さに応じた悪魔は知られぬように嘆息する。


彼女の問いの答えはきっと、導き出すその答えはきっと、悲しいものでしかない。
だから一時だけでも彼女の想いに応えよう。
共に生きると、凛とした声で告げた彼女を待ち受ける運命は、過酷なものでしかないのだから。
誰にも見えないその姿で、悪魔は落日に染まる燃える様な天を仰いだ。
それは滑稽な程、祈りを捧げる姿に似ていて。



彼もまた、原罪を償う存在の一つに過ぎないのかもしれない。




>>La luz triste. =哀れな光

  SHイベリア小話。
  書かないとか言って書いてる罠(苦笑
  あれ、視点が交わりすぎてて分からなくなってるような。
  少し小難しい感じの文章って書いてみたいなぁ(苦笑)難しいですね。

歌声が流れる。
掠れた低い声はしかし伸びやかで、うとうとと夢と現実の合間を漂っていた元就の耳に心地良く届く。
重い目蓋を押し上げて隣で歌う男を見やれば、視線に気付いたらしい首を傾げて此方を向いた。

「も、とちか」
「ん。悪ぃ、起こしちまったか?」

心配そうに声をかけてきた男の声で、歌は止まる。
勿体ないと思ったが口にはせずに、首を横に振った元就は破れた幌の合間から見える月を見上げた。
冴え冴えとした月は冷たささえも孕んで、這い登ってきた寒さに思わず首を竦める。
目敏くそれを見て取った元親が強くはないが決して弱くない力で元就の肩を自分の方に引き寄せた。
細い身体は容易く元親の腕に抱き込まれ、抵抗という抵抗もせずに元就は体重をその腕に預け大人しく耳を厚い胸板に押しつけた。
一定のリズムの鼓動が聞こえて尚のこと安心する。
先程の寒さなどは僅かにも感じない。

「……元親」
「うん?」
「…歌え」
「命令形かよ」

苦笑混じりの声は、否定を表さない。
やがて一つ大きく息を吸うと元親の唇から歌が滑り落ちた。
空気を震え伝う旋律は、人が禁じられてしまった奇跡の音。忘れられてしまった歌。
取り戻そうとしても歌を禁じられてしまった人間には二度と歌うことの出来ない奇跡。
世界はその音に触れて歓喜し奇跡を起こすとも、遙か原始の時よりの純粋な祈りに応えて奇跡を起こすとも言われている。
その声が、歌が、音が。
今は一人の為に歌われる。

「……、だ…」

ぽつりと、囁く程の小声で元就が何かを口にした。
何を言ったのかと問おうとしたが、歌が途切れてしまうと思い留まり、元親は腕の中に大人しく収まっている元就を見遣った。
目蓋を閉じてじっと歌を聞き入る表情は穏やかで。
嘗て見せた痛みを堪える表情が嘘のようだった。
暫く歌い続けると腕の中、小さく規則的な寝息が聞こえ始める。
眠りの中に落ちたのだと確認してから、緩やかに歌を止めた空間には余韻が残った。
見上げる月は冷たさを孕み、夜風も体温を奪う。
それなのに腕の中の温もりは温かくて、それだけで寒さなど吹き飛んでしまうかのようだった。
安らかに眠る元就を起こさないように抱き直して、元親は自分も瞳を閉じた。



>>逃げた~…の少し後。

   ひとりきりの夜に別れを告げたのは、元就。
   ひとりきりの夜から救い出してくれたのは、元親。

   元就は光秀と一緒にいても、きっと二人とかではなくてふたりぼっちだったとか妄想。
   少し糖度高め。こういうときは我に返ったら駄目なんだぜ(黙れ

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プロフィール
HN:
くまがい
HP:
性別:
女性
自己紹介:
此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。

ブログ内文章無断転載禁止ですよー。
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