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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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気まずいと言うより死にそうと思ったのは何故とも言えない。理由は明白だ。
だというのに何とも似てるようで似てないのだなと暢気にものを考えられたのは彼生来の性分であるのだろう。
良くも悪くも凡人である彼にとって、天才と呼ばれる域の人間の行動など露ほどにも分からない。
「……えぇと」
だから押し黙り痛すぎる沈黙の中で、何とも間抜けな声で松田桃太は歯切れの悪い切り出しをしなければならなかった。
西洋人の中に確かに、混在する東洋の雰囲気を持っていた竜崎と比べ、今の”L”であるニアは東洋人が持ち得ない白さのせいか近親感というものを感じさせない。
初めて会った時よりも成長した容姿に彼の年齢は一体幾つだったろうかと思い返す。
姿ばかりはあどけない少年のようだったにも関わらず、ニアの年齢はあの時点で既に十代後半であった。
なら今は二十代前半かと結論付けて、結局切り出した言葉の先に続く意味も見出せずに途方に暮れる。
目を逸らしたまま柔らかそうな癖毛を弄っていたニアがふと視線を松田に寄越した。
脱色されたように色素のない容姿の中で唯一深い色合いの瞳は、確かに竜崎と似た深さがある。しかし松田にはどうにもニアと竜崎が似ているようには思えなかった。
勿論、感情的な部分で好きになれないという単純且つ明確な理由も存在している。
「ミスター松田」
「はい!」
充分待ったと言いたげに口を開いたニアの声は、相変わらず表情を余り映すことなく淡々としていた。
冷静にと思いながらも上擦った声を上げた松田に一瞬目を丸くして微かに口元が笑みを象る。
「質問があるのならお好きにどうぞ。答えられる範囲でなら答えてあげましょう」
完璧な丁寧語でそう告げるニアに表情らしい表情はない。
視線を合わせてきたニアは、松田をただ純粋に観察しているようだ。
「……えっと、それじゃ…」
またしても歯切れの悪い口調ですっかり憔悴してしまった松田が先を続ける。
「何でこんな所に?」
それは至極まともな質問だった。
世界の切り札の名は元は竜崎のものであり、その後月が引き継ぐ形となった。その後あるべきところ、本来の後継者の元に戻ったに過ぎない。
世界の切り札”L”は紛れもなく今目の前にいる何とも白さばかりが目立つ細い青年だ。
何故そのニアが松田の言う「こんな所」、―警察庁にいるのかが分からなかった。
「用があったからです」
時に大胆な行動を辞さない竜崎に比べ、最後の最後まで姿を現さず自ら動かなかったニアは行動力に欠けていた。
それはニア自身が認めていたことであり、周囲の人間も認識していた所だ。正しく比べようも無いだろう。
だからこそ何故こんな所にいるのかを聞いた筈なのにさらりと流され、松田は困惑する。
「…人が足りないとか…?」
「いいえ。応援要請を出せば人は足ります」
間髪入れず返される言葉は鋭利さも含む。
平凡な質問さえいけない気がしてきて、松田が次に何を聞こうかと口を開きかけた時、ニアの方が先に言葉を紡いだ。
「それよりも聞こえました」
したり顔で笑うニアは得体が知れない。
ぞくりと背筋を襲った寒気に松田は知らず呻いた。聞かれていなければ良いと思ったのだが、そんな都合が良いことがある筈もない。
「……すみません」
「何故謝る必要が? だって貴方、その通り私を嫌ってるんでしょう?」
さらりと言ってのけられた台詞は、先程廊下に出る前に部屋で現在の”L”について悪態を吐いた松田の言動が聞こえていた証拠だ。
一頻り不満を出し切って廊下に出たところでニアと遭遇した状況を考えれば、そんなもの確認せずとも明白だったが。
「別に、」
「良いですよ。嫌われるのは慣れています」
白く柔らかそうな髪を指に絡めながら、しかし口調に感情は浮かばない。
「だから大丈夫です」
言い切ったニアがつと視線を逸らし、くるりと踵を返した。
言いたいことは言ったのだろう。用事は済んだとばかりに背中を向けるニアに一瞬呆然とする。
何だろう。これは? ふと過ぎった訳も分からない感情に眉根を寄せて
「……ニア」
一瞬の迷いの後、松田はその細い腕を掴む。その細さは嘗ての竜崎に似ている。
”なんですか、松田さん”そう言い、心を読むように見詰めてきた竜崎に初めて似ていると感じた。
瞬間僅かに引っ掛かるように心の端に甦る既視感。
拾おうにも直ぐに意識の端から零れ落ちて拾うことさえ敵わなかったが。
「…、ミスター松田、何です?」
息を呑んだ音を聞き逃さなかった松田に敢えて平静を装った声が落ちた。
窺った視線は矢張り何かを探るような感情の薄いもので、薄ら寒ささえ感じる。しかし、それだけではない気もした。
「僕は竜崎も、ニアも嫌いです」
「…竜崎?」
だから素直に言葉を口にする。
得体の知れなさと細さだけが良く似た二人の実年齢は十ではきかないのかもしれない。
突然出てきた名前に首を傾げたニアが続きを促すように見詰めて寄越す。
「でも、……別に大嫌いなわけじゃない」
「………」
”はぁ、全く意味が分かりませんね。だから馬鹿って言われるんですよ。松田さん”
言葉を返さないニアが作り出した沈黙の中、聞こえる筈の無い幻聴が聞こえた。嘗ての”L”の落ち着いた声。
「…何を仰りたいのかは分かりませんが」
充分に言葉を咀嚼しても松田の発言の真意までに至らなかったのだろう。
ニアの眉が少しだけ寄せられ、淀みなかった口調は途切れる。
「分かんなくたっていい。とりあえず、それだけが言いたかった……」
「一つ分かりました」
松田の言葉を遮るように思案に沈んだ声が、ついと浮上した。
先程の笑顔とは違う表情でさらりとニアが告げる。
「Lは……、いえ、貴方の言う所の竜崎は、貴方のその単純でありながら大胆さが好きだったんですね」
問題に対しての解を弾き出したかのように言われた台詞に松田の反応が遅れる。
力の抜けた松田の手から腕を解き、背中を悠々と歩いていくニアが振り向くことはなかった。

「………なんだよ、それ」

呟く。
何故こんな場所にいたのか色々聞き出せなかったことよりも、松田の意識は最後の言葉に持っていかれてしまう。
呆然と立ち尽くす松田の姿を見留めた同僚が声を掛けるまで松田はその場を動けなかった。


***


「何だか嬉しそうだが、ニア? わざわざあんな所に自ら行かずとも良かったのでは?」
「いえ。少し揶揄ってみたかっただけだったんですが。…悪口を言われっぱなしでも面白くありませんし」
狙ったタイミングで迎えに来た黒塗りの車に乗り込んでニアが笑う。
「思わぬ解を見つけました」
何の、とキラ事件よりこの方ずっと協力をしてきた体格の良い壮年の男は聞かないことにした。
取り敢えず機嫌の良いのは何よりだ。
「単純な話、ですね」
走行音にかき消されて、流れる景色を見遣りながら呟かれたニアの言葉は誰にも聞かれなかった。




>>人なんて結局どれもこれも分かんない答え宜しく単純だ、と。まぁ、そんな話。
   松田と書くだけで何だか変な気分になり、それでいて松田の口調がどうなのかとか
   わかんな過ぎて途中でネタとして微妙とか思って頭痛くなった…とか。

   竜崎と松田ならともかく、ニアと松田は無謀だった…(当たり前

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雲海を渡る。朝の清々しい風は心地良く、眼前に迫ってきた王宮の影に目を細めた白く神聖な獣は音も少なに庭院に降り立った。
まだ朝早い時間で起き出しているのは朝餉を作る者達くらいだろう。無理を言って泊めて貰い、全て心得たとばかりに朝日が昇る直前に送り出してくれた隣国の麒麟を思い出しながら、ニアは用意していた衣に袖を通した。
白い容姿の中で唯一深い色を持つ瞳がそっと伏せられる。いつもと違い、用心深く選んだ服は首が隠れるくらい長襟のものにした。
それとてそこまで気にされるものではないだろう。ニアの影から気遣わしげに柔らかな雰囲気をまとった腕が着替えを手伝う。
女怪の気遣いに「ありがとう」と小さく告げて、そっと最後に帯を結んだ間違いない女の手にニアが触れる。
(主上は未だ自室におられるかと思います)
「……、そうですか。何とか間に合ったようです」
(良いのですか、台輔?)
「余計な心配は掛けたくありませんから」
きっぱりと言い切り足音も少なに回廊を歩くニアに、その影から声が尚も掛かった。
(…台輔、どうせ後でご報告に上がるのですから、隠すのは難しいのではないのですか)
「大丈夫です。心配は要りません」
迷い無く言いながらもニアの指は襟に隠れた自身の首に残るであろう痕を無意識になぞった。
くっきりと残ってしまっている絞められた指の痕は、白いニアの肌では暫く消えそうにない。今日誤魔化せたとして長い間、誤魔化せるとはニアも思っては居なかった。
元々麒麟の本性は仁。虚偽も良しとしない。
ただ心配であるのだ。急ぎの用である故に王の遣いとして赴いた先で国で唯一無二、王を選定する麒麟がどんな理由があるにしろ危害を加えられたとなれば、国交問題になりかねない。
そうでなくともニアが赴いた国は既に王朝の終わりが見え始めている。王は道を失った。その証拠に彼の国の麒麟は失道し、精神を病んでしまっている。
狂気を内包し、呪詛を吐き出すように絞り出された声を思い出してニアは顔を伏せた。
締め上げられた事による呼吸の侭為ら無さよりも、彼が今まで抱え込んできた痛みを吐露した言葉の方が堪えた。
王は民のもの。王は人でありながら王となった瞬間に人ではなくなる。王という名の神に近い存在になる。
選定は神獣と呼ばれる国の麒麟が、その唯一無二の存在が行う。麒麟は王から人の道を奪う。ささやかに自らの為に生きる生を奪ってしまう。
言うなれば王は民の為にある。そして麒麟は、その民の為にある王の為に唯一あるもの。
「……景台輔は、ずっと苦しかったのですね」
王の隣で執政を助けながら、何でもないように振る舞いながら、王の為にあるべき麒麟は本質ではなく虚像を投影されていたのならば、自分がそんな風に居たのならばどんなに苦しいかと思う。
耐える日々ばかりにささやかに安らぐ日の思い出さえ蝕まれていってしまうだろう。
心はないまま、本性が仁である故にそれだけは捨てられぬ侭に生きる。仁を捨てることは出来ない。人ではなく麒麟として生まれた故に根本は覆せない。
考えただけで生き地獄のようだと思った。
するりと白い指が首に残された痕に触れた瞬間に走ったひりついた痛みに僅かに眉根を寄せて、ニアは足音もなく自分の房室に入った。
後ろ手で扉を閉めた瞬間、声が掛かる。
「随分と急いで帰って来てくれたようだな」
その声に何故王気を辿った後、慎重に動かなかったのか後悔した。
普通、麒麟と王は寝所が設けられている殿が違う。
しかし幼い頃に王を選び、胎果で世界にも不慣れであったニアの為、王は同じ殿に麒麟と王の寝所を設けさせた。成獣化した後も寝所はそのままにしてあり、殿が同じであるが故に簡単に互いの寝所を行き来出来る案配になっている。
「…主上」
咎める響きもなく普段通りの王の声にニアはそう呟くのが精一杯だった。
体格の良い男が房室の奥、もう一つの扉から迷わずに歩いてくる。
大きくなった今も華奢な印象を拭えない自国の麒麟の目の前で歩みを止めると労るように肩に手を置こうとした先、逃れるようにニアの身体が沈んだ。
「ニア」
膝を折り頭を下げたニアの表情は見えない。ただ長い襟の隙間から白く細い首筋が見え、そこに微かに見慣れぬ痕を目にして、王は何事かを察する。
しかし言及する言葉は飲み込む。何より額づいた麒麟が触れられたくないように身体を強張らせたのを見逃さなかった。
「まだお休みになってるかと思いました」
「何となく帰ってきた気がしたからな」
迷うことなく手を差し出し、ニアを立ち上がらせた王は穏やかに笑う。
「……報告は後で良い。疲れただろう? 休んでいなさい」
目の前の男を王に選んだとき、ニアは未だ幼かった。その時と変わらぬ口調にニアは酷く安堵する。
同時に首を締め付けられたときに聞いた慶国の麒麟の声が脳裏に蘇った。
誰しもが違う誰かや何かの代りにはなれない。麒麟は選んだ王に仕え、その国の為の存在である。鏡像である訳が無い。
しかし麒麟は王の命に背くことは出来ない。王がそれを望めば享受し王と共に生きるしかない。
「…レスター」
笑って過ごしていた筈だ。初めてあの国を訪れた時、慶国の麒麟は王を選べて良かったと笑った。
王が名を与えた時でさえ笑っていたのだ。隣国の台輔と同じ名を、今生きている存在の名を与えるというのはどんな意図があれ、自身ではなく置き換え虚像を映す結果となるのを知りながら笑っていた。
その思いを推し量れば、道を外し病んでしまった様子を目の当たりにしてしまえば、苦しくて仕方ない。
もっと他に何かなかったのかと思わずにいられない。
「…ニア?」
「少しだけ、」
甘えると言うよりは温度を求めるような仕種で王の胸に寄りかかったニアは瞳を閉じる。
胎果であるニアにとって幼い頃過ごした世界とは隔絶された本来あるべき場所は酷く不安に満ちたものだった。
聡明で感情を抑える術を心得ていたとしても不安は拭えなかった。無言で堪えるしかなかった筈のニアにその時伸ばされた腕は優しく温かかった。その腕で王はニアの柔らかな癖毛を撫でる。
王の命で出向いた先で何があったかは話さねばなるまい。
何よりも言葉にしないだけで気遣う王の態度に大体を悟られてしまったのをニアは感じている。
順序立てて話せば物分りのいい王の事だ。危害を加えられたとはいえ、不可抗力であったことは理解してくれるだろう。
「少しだけ、こうしていて下さい」
消え入るような声は王に確かに届き、苦笑を返されはしたが拒まれることはなかった。
ただどうして哀しいのだろうと、ニアは身体を半分預けた先で思うしかない。
始まりがあれば例外なく終わりはある。胎果であるが故に永遠など無いことをニアは誰よりも知っている。その時、自分と王の辿る道も偏に失道でしかないだろう。
同じ結末でなかったとしても其処にあるものが何であったとしても、と考えて止めた。分かる筈も無い。
麒麟は王を選定し、王に従う。なればこそ最期も一緒でありたいのだと思うのだ。
この優しい腕が優しさを間違え、聡明さが傲慢に満ちてしまい天に見放される時が来るのだとしても。


―道を失った時でさえ、きっとこの人の温度は変わらないのだろうから。



>>久しぶりの十○国パロネタ。
   いつぞやの話のその後、としてリンク。
   十○国ネタは本編のキャラ(というかワイミーズの子達)のイメージと
   余り離さないようにしつつ、如何に麒麟っぽくするかを肝に置いてたりする。

   しかしこれ、途中で何が何だか分からなくなったとか、言わないよ。
   私の馬鹿…(いつものこと)

片時も外さなかったロザリオが、不意に変な方向へと引っ張られた。訝しげに眉を顰めてメロが振り向く。
遠い日に誰かが言った言葉を思い出そうとして浚われる記憶と似た感覚に眉間の皺を深めた。
終ぞ今まで着替えるときにさえ引っかけたことのないロザリオが上着のタグを噛んでいる。溜息を吐いて器用に両腕を上着から引き抜き、ロザリオを回して引っかかったタグを正面で丁寧に外した。
それは何か、予感めいたものさえ表していたのに。
振り払う。振り払う。
全て温かなものは置いてきた。命を容易く奪った瞬間に捨てたものは一体何だったのか。
忘れてしまえるほど頭が悪ければ良かったのにと淡々と思うのだ。
目の前に立ち憚る者を容赦なく切り捨てることが出来るのに、心だけはいつも何処かに置き忘れている。そんな感覚がある。
割り切った冷静な理性と断ち切れない感情の合間でメロはいつも何処か懐かしい場所を思い出すのだ。
陽の良く当たる中庭で遊び回ったときの風の匂いや、きらきらと落ちる木漏れ日。
Lの後継者としての育成施設であるから決して他の養育施設のような生温い生活を送ってきたわけではない。
しかしあの場所は振り返ればまるで遠く懐かしい、一つ言うなれば故郷のような場所なのだと思う。
勝手に出て闇の世界に身を置いた。覚悟はあった。今までと一変して手を汚す覚悟を持った上で、もう戻れない覚悟で身を置いたのに、振り返れば色褪せることなくその場所はまざまざと脳裏に描かれるのだ。
『…メロ、どうかしたのか?』
通信越しの耳慣れた声が思考に入り込んでメロは小さく自嘲する。
いいやなんでもない、と返そうとしてふと思い留まった。
『メロ?』
訝しげな声が通信機越しに名を呼ぶ。もう一度どうしたと問われて今度は「なんでもない」と答える算段で口を開いた。
しかし滑り落ちた言葉は意に反した。
「お前、俺についてきて後悔してないか?」
信じられないくらいに落ち着いた声音は淡々としていて、まるであの場所で競っていた相手を思わせる。
何処までも全ての色を排他した小さな存在。それは数年を経た今も変わらない
堆く積まれたモニターに囲まれ、背を向けたまま対峙した彼の外見的特徴は実年齢よりも幼く、しかし振り返った際に見せた表情だけは過ぎた年月分大人びていた。
通信越しに小さく堪えきれない笑い声が漏れる。
「おい」
『いや、らしくないって思ってさ…』
咎めれば、悪いと言いながら尚も通信機の向こうの笑いは止まらない。
小さく舌打ち一つ落としたメロに気付いてか、ただタイミングが良かったか、相手の笑い声が止んだ。
『…メロ、気にするな』
何もかも見抜いた言葉に今度はメロが笑うしかない。
それは例えば幼少の頃の遊びで誤って軽い怪我を負った時のような気安さであって、妙に真摯なのだ。
「マット」
『心配は無用。…メロは』
知らず胸元に落ちたロザリオを片手で弄いながら相手の言葉を待つ。
一度息継ぎに設けられた沈黙は奇妙に歪み、表し得ない結末を予め知っているかのようだ。
『自分の信じるようにやんな』
目を閉じれば思い出せる陽の当たる場所で笑ってふざけ合った時の様に言いながら矢張り言葉に重みは伴う。
何も言わぬだけ。予感がある。もう本当に戻れない予感。
「…ありがとう、マット」
『ばっか。それがらしくないって』
珍しく素直に出たメロの言葉に幼馴染に似た関係の相手が笑う。
心底嬉しそうに笑って「良いんだって」と呟いたのを、通信越しでもメロは聞き逃さなかった。
全てを予見した上で、それでも助けになると言った友の存在は歪に捩られていく世界の中で一つも形を変えていなかった。
酷くそのことが救いで切ないと笑う。肩を揺すって、ともすれば泣きそうになるのを堪えるように笑う。
「そうだったな」
『そうそう。メロはいつでも、強引で激情型で…いっつも俺は引っ掻き回されてばっか』
「引き篭もりがちのお前にとってはそれくらいで丁度良かっただろう」
会話は過去を振り返る。
辛いことが無かったとは言わないが温かい場所に。
『よく言うよ。……まぁ、でも』
メロも通信越しのマットも戻れないその場所に。
『そうなのかもなぁ』
肯定する言葉に今度はメロが「らしくない」と返してやった。一瞬の間の後に同時に二人で笑う。
昔に戻ったように屈託も無く笑う。
『メロ、』
「……何だ?」
『出来れば……、俺は』
一頻り笑った後に少しだけトーンを落とした声は耳元で願いのように聞こえた。
続く言葉をメロは容易く想像出来て振り払うように首を振る。今更遅い。
違えてしまった道、自身の選択で奪った命は戻ることが無いように、どうあってもマットが続けようとしてる言葉は現実には叶わない。
しかし選んだ道の先、現状故に繋がねばならぬものがある。
「マット、それは無理だ。けど」
『ああ、分かってるよ。……意地っ張りのお前にしたら凄い進歩だよ』
「巻き込んで済まないな」
『前からだろ。好い加減慣れてるよ。だから謝らなくて良い。俺が勝手に納得したことだ』
それじゃ、また後で。
締めくくりの言葉に、メロはそれが叶うならばと心の中だけで返した。ぷつり途絶えた通信と一度脱いだ上着に袖を通す。
今度はロザリオは引っ掛からなかった。阻む事は無理だというように。
細く何か過去が名残惜しく引き止めたようなか細い抵抗はなかった。
「…行き着く場所は同じ、だ。お前は」
思い出したのはいつも一歩前を歩いていた、その色を排した少年のまま時が止まったかのような、存在。
今も昔も暈けることなく結ばれる像。
競い合ったからこそ、手を取れずとも繋げられるものもあるだろう。きっとメロとそれはそんな関係性なのだ。
胸元で揺れたロザリオを一度握りしめてメロが呟く。

「生きろ」

最早、幼い頃のように見えぬ神に祈る愚行は冒さない。
神など要る筈のない世界で、嫌というほど理解した上で、しかし言葉は一つの形に良く似ていた。
純粋すぎる祈りだった。


>>MMネタ。でも微妙にMMN(笑
   こっそり反応遅すぎて今更?と思われそうだけどリライト2の影響ネタ。
   メロもマットも良い子だよ…

ゆったりと流れるような薄闇が覚醒を促す。そろそろ日が昇る頃合いである。
ぱたりと無造作に、否、確かめるように腕を空いた布団の方に伸ばし何の感触も掴まず、布団の上に落ちた。
本来そこにある筈の膨らみはなく、僅かな温もりと残り香だけが昨晩を夢ではないと証明するのだ。
元親はふ、と息を吐き諦めたように隻眼を開ける。矢張り夜闇は今や残滓だけを残し消えていこうとしている。
朝陽の昇る時間に起きることなど、朝陽が昇る時間まで起きていたことがあったとしても、これまではなかった筈なのに可笑しなものだと内心笑った。
暫くすれば室の外、縁の所で静かに目を閉じ日輪を拝む男が、静かに音も立てず戻ってくるだろう。
端正な顔に僅か眉を寄せて不機嫌そうに言うに違いない。「未だ起きておらぬか。だらしのない男よ」と玲瓏な声が。
漣のように静かな平素の声も、怒りを滲ませながらも取り繕う低い声も、武将らしからぬ細さの男の喉が震う声全てが元親は気に入っている。
朝一番にそれを聞ける今の状況下も悪くはない。
思い当たり寝返りを打って元親は瞼を下ろした。もう少し寝ていても問題はないだろう。
大体相手が早すぎるのだ。
夢と現実の堺をすぐに行き来し出した意識が浮遊感を伴ってぼんやりと意識を落としていく。
その先ですると衣擦れの音がした気がした。

「元親」

そして名を呼ぶ。その玲瓏な声で、囁くように名を呼ぶ。
反覚醒した意識で後には馬鹿にしたような言葉が続くのだろうと思っていた。元親、ともう一度声は落ちる。
そっと布団の脇に置かれた手首の細さが垣間見えてはっとした。これは本当に同じ性別の、乱世に一族の頭領として立つ男のものなのだろうか。
戦場での凛とした姿からは想像もつかないのだ。だからこそ時折水を被ったように認識することがある。
腕に収まったときの線の細さや、時折見える儚さを内包した雰囲気をこの男が持つことに。
何か不安定な安定さがそこに目に見える形としてあることに。
「寝ておるか…?」
覗き込むよう身を屈めた男の髪は陽光にすければ柔らかな色を持つ。少しだけ色素の薄い癖のない髪。
薄く開けた視界の端を掠めて、次にはそっと前髪を気遣わしげに避ける繊細な指先が額に触れた。
完全に元親が寝ていると思い込んだ上の行動に、狙わず息は止まりそうになるが自然を装い息を吐き出す。自然と呼吸が浅くなる。
顔に僅かに掛かっていた前髪を払って、男の端正な顔がゆっくりと近づいた。
互いの息が掛かる距離。優しく労るように額に口付けられて元親は不覚にも身動いでしまった。
しかし寝ていると未だ思っているのだろう。完全に覚醒してしまった意識の中、元親は離れていった男が今どんな表情を浮かべているか知りたくなって薄く瞼を持ち上げる。
終ぞ見たことのない、薄く笑みを佩いた表情は儚げではあったが同時に悟ってしまった。
これこそが根本。彼の本質であると。
家を守り生き抜く為に優しさや何もかもを切り捨てた知将は、孤独を内包し戦場で流れる血にも失われる命にも微動だにしない。
一分の隙もない完璧なる冷徹の仮面を被り、全てを見通すのだ。
微塵も感じぬと宣言した口で、嘗ては穏やかに笑って優しい言葉を紡いだことさえあるのだろう。
今はそれが許されない。そしてまた許されようとも思っていない覚悟を見た気がして元親は密かに瞠目した。
「…、元就」
「………ん? 起きたか」
囁く様に呟き返すと今起きたと勘違いしたのだろう。まだもう少し寝ていても良いと屈み覗き込まれ言われて堪らず、身体を支えていた細い腕を自身に引き寄せた。
簡単に崩された体勢に眉根を寄せて、しかし抱きとめられて男は優しさなど欠片も見せぬ笑い方で笑う。
「寝呆けているのか? 困った男よな。寝首でも掻かれるとは思わないのか」
「…、お前こそ、な」
「仕様のない」
溜息混じりに吐き出される言葉に偽りはない。
海を挟み向かい合う国主同士が共に寝る関係に至るなど、どちらかが一方を隷属させたわけでもないというのに、可笑しな話だ。互いにその関係が生む危険性を知りつつ尚続けているのだ。
「本当にな」
けれど何故だろう。
その戦場では凡そ生身とは思えぬ男は、酷く安らぐ温かみを持つのだ。
名ではなく与えられた家の名を呼ばれ戦場で敵として見える時、若しくは元親かこの男かが命を落とすかも知れぬのに。
そうでなくとも何処か別の戦場で、名だけを知る武将にどちらかが討ち取られてしまうかもしれないというのに。
感傷や余計な感情に繋がる関係性は切るべきだと理解していても、生温いこの僅かの時間に生まれる感覚に元親は酷く、安心するのだ。
まだ、自分も、彼も、人間であると手に取るようであるから。



>>瀬戸内。……なんか思ったんだが色々なジャンルで色々かぶる傾向があるな(笑
   なんか久しぶりにちょっとだけ長い。
   瀬戸内はこんな雰囲気が好きなんだぜ、といいたい。

全てを話して子供に嫌悪されるのが怖かった。侮蔑されるかもしれないと、そう思った。
父親が他でもない”キラ”であることはその内話さなくてはならない。そしてその時、自身の子供がノートや、父の思い描いた世界についてどう思うか問わねばなるまい。
しかしその後に問題になるのは、ならば何故そんな男と関係を持ったのか。
憎んでいたはずの男と何故寝たのか。必ずそこに行き着く。
もう少し年齢を自分も子供も重ねた後なら、割り切って話せるのだろうか。
十歳の子供にそれらを打ち明けるには言葉を慎重に選ばねばならなかったし、酷く労力が要る。しかし嘘は言いたくなかった。
ぽつりぽつりと順を追って話しながら、過去を振り返りながら、ニアは思う。
そう、夜神月と関係を持った時の感情に関しては今でもよく分からない。
焦っていたのかも知れないし、自棄になっていたのかも知れない。「どうして」と問われれば「分からない」としか答えられない。答えは未だに言葉として実像を結ばない。
「……母さんは嫌だったんだ」
遺伝子を提供することを半ば強制されていたこと、要求として提示されていた子供を産むことに対して抵抗があったこと。
そして繰り返される理不尽な要求に精神的に追い詰められ、気付いたら衝動的に手首を切っていたことを話し終えたところで、それまでじっとただ言葉を受け止めていたユイが口を開いた。ぽつんと子供ながら落ち着いた声音。
感情が追いつかず言葉だけを理解している印象にニアは少しだけ胸を痛める。
自殺未遂に及んだとき、何より自分がそんなことをすることが出来るんだと呆然と事実を受け入れたニアとは反対に、”キラ”事件が終わった後もサポートしていたメンバーと二代目ワタリとなったロジャーは愕然とした様子ではあったが、その後の処置が迅速且つ正確であったことは称賛に値した。
手首にひんやりとた刃を当てたとき、ニアには不思議と躊躇いがなかった。元々感情の希薄な方だったが麻痺していたといった方が正しい。
今までニアの精神的負荷を考えもしなかったと誰もが掛ける言葉を失う中、ざっくりと切った手首を丁寧に縫合され、その上に白い包帯を巻かれ、月を拘束している部屋をニアが訪れたとき彼だけが「お前は馬鹿か」と、嘲笑ではなく言ってのけたのだ。
ぶかぶかの白いシャツから覗く白い包帯に目を留めて痛々しげに目を細めて。
考えれば分かったことなのか、それとも共に行動した死神が面白がって教えたのか、ニアが”L”としての全てを継ぐことに対して負担を覚えたのではなく、別の理由で精神的に追い詰められていたことを月は知っていた。
知っていて「そんな下らないことで死ぬな。…仮にも僕を捕まえたお前が」と宣ったのは覚えている。
そんな要求どうとでも跳ね返してしまえ。お前になら出来るだろうと掠れた声が呟き、存外優しさを含んでいた声と、全てを知った上でただ受け入れて寄越した言葉に悔しさも覚えたが、何より酷くそれは温かかった。
十年経った今でも薄く残る傷跡に視線を落とし、ニアは口を開く。
「嫌でした。…私は、そんな風に扱われるのが嫌で仕方なかった。子供だって出来れば作りたくないとその時は思っていました」
「…僕にはよく分からないけど、それじゃ」
「貴方に嫌われるかも知れません。私、本当にあの時は自棄になっていたような気がします」
「…………」
望まれて産まれてきた。
そうでは決してないと言うようなニュアンスにユイは言葉を失う。
父と母がその時どうであったかなど、今のユイでは分からない。如何せん子供過ぎる。
だから言葉を全て記憶するようにしながら、数年後もっと大人になったならば理解出来るものかも知れないと結論づけた。縋って追うほど物分かりが悪いわけでもない。
「母さん」
「……はい」
「その話、今の僕には難しいみたい。……もっと、ちゃんと僕が分かるようになったら話してくれる?」
「ええ、最初からそのつもりでしたから」
だからこれ以上の言及は今必要ない。ニアの膝に置かれた手に手を重ねる。
「話してくれて有難う。無理を言ったでしょ?」
「……いいえ」
「最後にもう一つだけ、これだけは聞いて良い?」
重ねた手に少しだけ力を込められて視線を上げたニアを、真正面から覗き込む形でユイは問うた。
父親に似た容姿の中で唯一ニアから受け継いだような深い瞳は酷く澄んでいる。
「僕のこと、愛してる?」
例えば、その時望んだわけでなくとも、今までニアに育てられてきた十年があるのは間違いない。
産まれる前の事情は今更重要ではない気がした。
ユイの言葉に一瞬目を丸くしたニアが笑った。
「…ええ、愛しています」
当たり前じゃないですか、と抱き締められ耳の近くに母親の声が落ちる。
なら良いではないか。ユイは母親の肩口に顔を埋めて泣きそうになるのを必死で堪えた。
望まれて産まれてこないのなら愛されるわけもない。愛して貰えるのなら、それは―、


***


カタカタカタカタ。
ボードを叩く音が深夜、静まりかえった部屋に響く。
その音で緩やかに覚醒したニアはぼんやりと室内を見回した。目覚めたばかりの視界は直ぐに順応せず暗闇を映すばかりである。
訝しげに眉を顰めた間にもカタカタと軽い音は続いている。
僅かに身動ぎ視線を変えた先、デスクトップのディスプレイが明滅しているのが見えた。音はどうやらそこから聞こえるようだ。
「…、」
仄かに明度を極端に抑えたディスプレイに文字が浮かび上がっていく。
話し掛けるようなそれにニアはゆっくりと上体を起こし、しかし決してベッドから出なかった。
この距離ならば十分文字は読み取れる。
「構いません」
文章に答えるように神妙に、簡潔にニアが呟く。
相手が誰であるとか、非現実的だという考えは既に捨てている。暗順応し始めた視界にはディスプレイに文字が浮かぶのと同時に誰も触っていないキーが動いているのが見えた。
誰も触ってはいない。自分の目に見えるものではない、何かが。
「………一つ、聞いても?」
『何を?』
「ユイは貴方が居ると言いました。ちゃんと居る、と。私はまだ耄碌してないつもりです。…どうやら夢を見ているわけでもないようだ」
『ああ』
ニアの言葉にディスプレイに浮かぶ文字が答える。会話が成立していく。
短い応えに微かに震える息を吐き出してニアは、ぎゅっと掛け布団を握りしめた。
細い指先が白さを増す。視線は落とさずディスプレイを見詰めたまま、ニアは何を言うべきかと回転する思考が余り意味を持たないのを自覚した。
「姿を見せないのではないんですね」
『何故そんなことを? お前らしくもない』
「………分かりません。私にも、分からない」
規則正しいとさえ言えたキーを叩く音が止む。沈黙だけが部屋に下りた。
静かすぎることに耐えかねる程ニアは沈黙に耐性がないわけでもなく、相手も同じだった。
ただ相手の意図と機会を窺うような空気にニアが笑う。
「ああ、懐かしいですね。この感じ」
一方的にニアが話すことで成立する会話は端から見れば異様なことに思えるだろう。
ニアもまた全く抵抗もなく自分が状況を甘受しているのを頭の端で、らしくないと思いながら続けた。
それは嘗て通信回線越し、互いに変調機を掛け、互いに幾重にも張り巡らされた策の合間を縫いながら会話をしていた頃と空気が似ているというのに、ニアが続けた言葉は全くと言っていいほど昔と程遠い。
「ユイが貴方の名前を知ったとき、…ユイが幽霊が存在するのかと聞いてきたとき、」
嘗て死神が世界には存在すると幼馴染みとも言える男の口から聞いた時には、確かにそうでなければ腑に落ちないと、言い聞かせる過程を省いて理論で信じた。
しかし初めて死神を目にした時、反応してはならない状況下で表情も態度も悟られないようにしたが実際は驚き、今度は全てで納得した。目にすればそれは真実であり、目に見えない真実も確かに存在することを。
「もしくは…と可能性は考えました。けれど、あの死神の言葉が忘れられなかった」
『リュークか』
「……人は死んだら無に行くんでしょう?」
『知るか。僕は少なくとも、無に行くという感覚など無かった』
淀みなく浮かぶ文字もまた嘗てのように策を張り巡らせる上辺だけの言葉ではない。
「……私を責めないんですか」
『それこそ何故? 分からなくもない』
父親の名を明かさず育ててきたことに対しての言葉に返った言葉は素っ気ない。
しかし故に真実なのだろう。裏にある言葉は互いに読んでしまう二人であったから、必然的に言葉は少なくなる。
キラ事件終結後、短かったと言える夜神月との直の接触で十分知ったことだった。
『言えないだろう。表向き、キラは違う人間として秘密裏に、そして獄中で死んだことになっている』
ディスプレイに文字は表示され続ける。
キーが動く度、本当にそこに居るのかと確かめたくなる衝動を堪えてニアはディスプレイを見詰めた。
『それに名を出せば、夜神月という人間が余りにも自然という不自然で社会から居なくなっているのなんてすぐに分かる』
「…、はい」
『僕とお前の子供は、……生憎と恐れていた凡人では無かったらしい』
天才と天才を掛け合わせて生まれてくる存在が果たして全て天才で有り得るか。
嘗て自身を悩ませた考えをディスプレイはさらりと表示する。記憶にある嫌味を充分含んだ声で言葉を脳内再生をしたニアが思わず眉を顰めた。
「止めて下さい。そんな言い方は」
『別に、他意はないさ』
「相変わらず性格が悪いんですね、貴方」
返される言葉は全て無言の、文字だけだ。
記憶の中にある声を、類い希な頭脳を持つニアが脳裏に刻んでしまった記憶は十年が経っても鮮明さを失わないらしい。
きっと姿が見えたら矢張り意地悪く笑っているのだろうとニアは思う。
「それで…何ですか? 今更、私にこんな風に意志を伝えてくるんです。何かあるんでしょう?」
暫くニアの問いにディスプレイの中は動かなかった。
「………え?」
漸く応えられた内容にニアが知らずに声を上げる。
一瞬呆けてしまったニアの頬に誰かが触れる感覚と、気のせいではないと裏付けるよう癖のある髪が少し揺れた。思案するニアの瞳がディスプレイから離れる。
視線は部屋の中にあって空虚を追うように動く。しかし何も捉えることは出来ない。
「……分かりました。良いですよ」
諦めて、そう言ったニアの耳元に、空耳のように「ありがとう」と呟く声が落ちて、その懐かしい声にニアは瞳を閉じた。
「どういたしまして」とは返さずに頷くだけに留めて、突然電気を遮断する音を立てて沈黙したディスプレイにもう一度視線をくれる。そこにもう文字は浮かんでいなかった。



>>パラレルif 10話目。
  長々と続いてます。もう一つの地点折り返し
  もうすぐ、もうすぐなんだよ…、たぶん(たぶんなのか)

  この話の月とニアは実は、複雑ながらも両思いです(今更)

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そんなところです。

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