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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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誰もいなくて寂しくて、寂しささえも忘れられた。
それなのに音色は、誰も聞くものがいなくても錆びる事も無く続いていく。
荒野をただ滑る旋律。
優しい歌。
誰もいない何も無い、その場所で。
それでも音は続いてた。
歌だった。
優しい優しい歌で、温かな歌で、これが本当に本当の意味で歌われていた時、屹度倖せだった。
喪われてしまって、何を失ったのかも分からなくなっていた。
ただ歌だけが続いていた。
今も屹度続いている。
褪せること無い旋律だけが続き、歌い手は朽ちて、でも歌は消えずに。

「…待ってて」

泣きそうになった。
歌が微かに耳に届いた。溢れる思いで喉が詰まった。今もまだ彼処で続いているのであろう、たった独りでそこにあるのだろう。忘れていたことも全て越える様な感情に頬が濡れた。
優しい歌。
どうやって作った?
優しく歌った。不器用な、その無機質な腕が冷たいのに温かいと、何よりも温かいと感じた。
ぎこちなく軋むような、けどその音は、何よりの伴奏だった。


「………今」

もう一度。
停止する寸前までそれを続けるだろう、無機質の、何よりもかけがえのない、その、


「あいにいくね」


そうしたら、今度は、一緒に。
歌も自分も一緒に。
荒野を滑り流れて、落ちるように、それで、歌だけを残して。


屹度、どれだけの日々を失ったことの悲しみと、失ったことでの狂気とで生き続けたのだろう。
今はもう、原型も殆ど留めていない、それは。





              ――グラモフォン



>>riyaのグラモフォンをリスペクトしつつ。
   上手く表現できません。もしかしたら残された側の方が書きやすかったかも、
   きっと戻ってくるんだと思うんだ。
   一緒に終わるために。

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さらり、さらり。ゆらゆらと体を揺らすその人の髪がふわふわと揺れた。
喉は震えて、声を紡ぎだす。
決して人間には生み出せない音。歌声。
何時からか禁じられてしまった、その奇跡の音。
ふわふわとした浮遊感の中で、少女はくるりと歌いながら回った。
白いワンピースの裾が翻って、彼女の柔らかな色の髪も宙を舞う。
本当に幻想的な風景に思えた。

韻を踏む歌詞。
透明な印象の音。
清廉された旋律。


なるほど…。
どうして人が歌を禁じられながらも、一世限りという条件と引き換えに歌を授けられたカナリアがいるのか。
神は、人から歌を取り上げたけれども、その音自体をきっと惜しんだのだ。
全てが失われるのは勿体無いと思ったのだ。
だからこそ人の間からカナリアと呼ばれる音を紡ぐことを許された存在は生まれる。


それが幸か不幸かは、わからないけれど。






>>創作。カナリア話のイメージ的概念のようなそんな感じのような…(?)
カナリア話の「カナリア」概念は高校の時に書いた話の違う設定での「カナリア」が実は、元になってたりする。歌とかそういうのはその頃は考えてなかったから全然違うけれども。人の中からうまれて人とは異なった存在という意味では同じ。今の「揺れる世界~…」設定のカナリアの方が普通の人とのはっきりとした能力差が出てるんだけどね。昔に練ってた設定のカナリアは痛みとかを共感できる代わりに力とかは弱くて…、色んな意味で設定が弱かったような気がしてる…。というかあんまり覚えてないとかどうなの自分(苦笑)
でもその前に練った設定があるから今のウタノやシノが生まれたのでした。
ああ、また客か。
ぼさぼさの頭を面倒臭そうに掻きながら、男が溜息をつく。
拍子に銜えていた煙草を落としそうになった。
慌てて噛み直すがぱらぱらと灰が男のしわしわのズボンの上に振り落ちた。
どうやら焼けて穴が開いたりはしなかったようだ。
良かった。折角の一張羅だ。
男はほっと胸を撫で下ろすと、事務所の入り口付近で躊躇う人の気配に目を向ける。
曇りガラスの向こうの人影の顔は良く見えない。
けれど、背格好からして女性だと知れた。
これで美人ならば面倒な仕事も悪くはない。
いつまでたっても開けられない扉を開けに男は立ち上がる。
ドアノブに触れようとした瞬間、静かにノブは回った。

「…おっと、いらっしゃい」
「あなたが…この事務所の探偵ですか?」

するりと静かな声が耳を打った。
扉を開けた女性が見上げる形で問うたのだ、と男が認識したのは数秒経ってからの事だった。
色白の女性の澄んだ色の瞳が少しだけ細められる。

「ああ。俺が……まぁ、一応探偵だな」

彼女の言葉に答えてなかったと人の良い笑みを浮かべると女性が微笑む。

「それは良かった。…少し、依頼したいことがございます」

静かな声でそう告げた女性のために男は身体を退けた。
大柄な自分が事務所の出入り口を半分塞いだ形だったからだった。
決して広くはない事務所に女性が一歩足を踏み出す。
雑然と書類が積み上げられている机の前に応対用の机とソファがあった。
顎をしゃくって示せば、一つ頷いて女性がソファに向かって歩き出す。
その後姿を見ながら、男は開けた扉を閉めた。

「さ、て。この事務所にいらっしゃったということは、どうやら普通の探偵では手に負えないことがおありのようだ。
悪魔との契約の調査ですか?それとも…」



つらつらと言葉を紡ぎ始めた男が後ろ手で閉めた扉の表には、”吉崎オカルト探偵事務所”と書かれてあった。




title by ロメア ( http://rei.hanagumori.com/ )


>>架空職業タイトルより拝借
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此処は思うがままにつらつらとその時書きたいものを書く掃き溜め。
サイトにあげる文章の草稿や、ただのメモ等もあがります。大体が修正されてサイトにin(笑
そんなところです。

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