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謂わばネタ掃き溜め保管場所
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いや真逆。
それを言うのなら、抑も手に入れようと思った時点で間違っていたのだ。
最初から過ちである行動の結果というのは、結局の所一つしかない。
或る意味潔いのかもしれない。自分の人生の中で一番潔いのが今この瞬間だということは、どういう皮肉かは知らないけれど。
呼吸は油断すれば途切れそうになる。視界は狭まっていく。
なんとも耳に付く雑音のような呼吸音は自分のものらしい。冷たくなる感覚に笑いさえ零れたのに、口の端から零れたのは一筋の血液。

「……はは」

情けない、とは思いたくは無かった。
最期だろう。
覗き込んでくる左右色の違う瞳は、「どうして」と問うてくる。いや実際声でも届いているのかもしれない。
ただ死に瀕して低下しすぎた聴覚では、もう音は聞き取れなかった。
手にしたのは至高の宝石だったか? ―”殺戮の女王”。
けれど、其れが一体何になったのだろうというのか。
嗚呼。これが、だからこそ彼女が殺戮の名を抱いたというのかもしれない。
所有者を、その家族を、簒奪者を、少なからず死に導くものだというのなら。


「…随分と、”女王”に対する接吻の代償は…高くついちまったなぁ」

自分の命を奪うのなら。
もう一人の簒奪者の、その命だけはせめて。
身勝手な願いに女王が応える可能性など、万に一つもないのだろうが。




>> Compensation de baiser = キスの代償
  冬の天秤とローランサン。
  分かり辛いぞ!死にネタ^^(またか)
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聞こえているかい?

君の耳に届くように、あえて歌うこの唇。
反響する闇のなか、彼女の声は小さく。ただ一つ。

うるさい

と言った。
終焉を待つこの地で、彼女は何を見守るつもりなのか。
そんなことはさしたる問題ではない。
紡ぎ続ける詩は、鮮やかな焔を宿し、世界の、
あらゆる世界を飛び越えて、小さな光を宿していく。
この生命の鼓動が聞こえるかい?
繰り返される真実を語りゆく「黒の預言書」に
こうして新たな頁を加えられていく、その改竄に
心底嫌気が差しているのだろう。

一人ぼっちで、貴方はいつでも歌う。

彼女がかつてそう言ったものの、結局自分が歌うことを止めたりはしなかった。
そんなにこの声が、詩が聞きたいのなら。
君の為に、この唇は詩を紡ぐだろう。
本当は悲しいほどに、君に響いているはずの、音。

一人で淋しいのは、哀しいのはきっと―――自分ではなく。

君ではないのかな、クロニカ。




+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

というわけで「酷い耳鳴りの中で、響き渡る無音の唄。
のイヴェールverをお返しって睦月から頂いた!
ありがとう!はぁはぁ

うるさい

そう呟いた。誰がではなくて、他でもない”彼女”が呟いたが故に闇がざわめく。
凝った闇が、収縮しつつ広がっていく。
相反する行動に誰もが現実から遠ざかった感覚を覚えるだろう。当たり前だ。
ここは終焉を待つ土地だ。場所だ。何より彼女が終焉を見守る存在であるが故の歪とも言えた。
黒いシンプルなドレスに身を包んだ”彼女”が堪えたというように耳を塞ぐ。
音は無い。
在る筈の無い音。
けれど”彼女”には聞こえていた。
細く、けれど強い、柔らかなようで絶対なまでの孤独を感じるような、その――。


歌声。


歌っているのが誰かなど明白だった。
けれど”彼女”は止めろと言う言葉を舌に乗せない。
ただ酷い耳鳴りにも似た、歌の中。
両耳を庇っていた腕をゆっくりと下ろして嫣然と微笑んだ。
赤い、血の色というよりは、純粋な焔の色に近い瞳が細められる。


「出来るのならば、それがやれるというのならば、やってみなさい。”冬の天秤”」

恋人に囁くように一種の甘さを持った声で彼女の口から言葉が落ちる。
”彼女”に終焉を止める力は無い。与えられたのは全てを見届ける役割のみ。
そして歌を紡ぐ”冬の天秤”は、相反する全ての事象の狭間で歌と言う名の焔を灯し続ける。
唯一、自分に出来る償いのように。


凛と立った”彼女”を取り巻くようだった歌に、少しだけ悲しみの色が滲んだように感じられたのは気のせいではなかった。
歌い手もまた、逃れられぬ運命の中で彼女の役割と自身の役割を知っているが故に。



だからこそ、感情の無い”彼女”でさえも、ぽつんと感じるくらいの哀しさがあった。






Title by 少年の唄。

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そんなところです。

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